高校数学で差がつく!多項定理の応用を徹底解説

高校数学で差がつく!多項定理の応用を徹底解説

目次

多項定理とは?

多項定理(たこうていり、Multinomial Theorem)は、二項定理の一般化です。つまり、3項以上の項を含む括弧のべき乗を展開するための定理です。

例えば、次のような形を考えます。 \[ (a + b + c)^n \] このとき、展開後の各項は \[ \frac{n!}{i!j!k!} a^i b^j c^k \quad (i + j + k = n) \] という形で表すことができ、すべての \((i, j, k)\) の組み合わせを列挙することで展開が完成します。

基本的な展開の仕方

まず、2項の場合(すなわち二項定理)をおさらいしておきましょう: \[ (a + b)^n = \sum_{k=0}^{n} \binom{n}{k} a^{n-k} b^k \] 多項定理ではこの考えを拡張し、3項、4項以上にも対応させます。たとえば、3項の場合: \[ (a + b + c)^3 = \sum_{i+j+k=3} \frac{3!}{i!j!k!} a^i b^j c^k \] となります。

具体的な項を挙げてみましょう: \[ (a + b + c)^3 = a^3 + b^3 + c^3 + 3a^2b + 3ab^2 + 3a^2c + 3ac^2 + 3b^2c + 3bc^2 + 6abc \]

応用的な活用法

多項定理は、次のような場面で応用されます:

  • 係数を求める問題
  • 特定の項だけを抽出する問題
  • 確率・組合せにおける計算

以下のような応用があります:

例:係数の計算
\[ (x + 2y + 3z)^4 \] の中で、\(x^2y^1z^1\) の係数を求めたい場合:

多項定理に従えば、 \[ \frac{4!}{2!1!1!} \cdot x^2 \cdot (2y)^1 \cdot (3z)^1 = 12 \cdot 2 \cdot 3 = 72 \] よって、係数は 72 です。

応用例題で理解を深めよう

例題1:展開式の項数を求める

\((a + b + c + d)^5\) の展開に含まれる項の数はいくつか。

答えは、\(a, b, c, d\) に対応する自然数の指数の和が5になるような \((i, j, k, l)\) の非負整数の組み合わせの数。 つまり、重複組合せの数であり: \[ \binom{5 + 4 – 1}{4 – 1} = \binom{8}{3} = 56 \]

例題2:特定の項の係数

\((x + y + z)^6\) における \(x^2y^3z^1\) の係数を求めよ。

係数は: \[ \frac{6!}{2!3!1!} = \frac{720}{2 \cdot 6 \cdot 1} = 60 \]

例題3:文字の置き換えと応用

\((1 + x + x^2)^4\) の展開式において、\(x^4\) の係数を求めよ。

これは少し工夫が必要です。式を \[ (1 + x + x^2)^4 \] とし、和の形で \(x^4\) になる項の組合せを考えます。例えば、

  • 1,1,1,\(x^4\):これは存在しない
  • \(x^2,x^2,x^0,x^0\):2個の \(x^2\)、2個の 1 → \(x^4\)
全ての場合を洗い出し、具体的に何通りか計算する必要があります。

まとめ

多項定理は、複数項のべき乗を展開する強力な道具です。特に係数の計算や項数の把握において重要な役割を果たします。定理そのものは一見難しく見えますが、例題を多くこなすことで直感的に理解できるようになります。

数学IIIや数学オリンピック、さらには大学入試問題などでも応用される場面があるため、高校生のうちにしっかりとマスターしておくと大きな武器になります。

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