交代順列・タンジェント数・セカント数の応用まで徹底解説【高校数学】
目次
交代順列とは?
交代順列(alternating permutation)とは、ある順列において「上がる」「下がる」が交互に現れる順列のことです。
例えば、長さ \( n = 3 \) の交代順列を考えてみましょう。
- 132 は上がり下がり(1→3→2)になっているので交代順列です。
- 213 は下がり上がり(2→1→3)になっているのでこれも交代順列です。
- 123 や 321 は上がりか下がり一方向なので交代順列ではありません。
より一般に、長さ \( n \) の交代順列の数は「交代順列数(またはオイラー数)」として知られ、\( E_n \) で表されます。以下はその初期値です。
- \( E_1 = 1 \)
- \( E_2 = 1 \)
- \( E_3 = 2 \)
- \( E_4 = 5 \)
- \( E_5 = 16 \)
交代順列数は、以下の漸化式で求めることができます:
ただし、奇数番目と偶数番目で異なる定義になることもあるため、文脈に注意が必要です。
タンジェント数とは?
タンジェント数(tangent number)は、タンジェント関数のマクローリン展開における係数として現れます。次のように定義されます。
\[ \tan x = \sum_{n=1}^{\infty} T_{2n-1} \frac{x^{2n-1}}{(2n-1)!} \]この \( T_{2n-1} \) がタンジェント数です。例えば、
- \( T_1 = 1 \)
- \( T_3 = 2 \)
- \( T_5 = 16 \)
- \( T_7 = 272 \)
交代順列のうち、「奇数長の交代順列」の数に等しいことが知られており、オイラー数(交代順列数)との関連があります。
セカント数とは?
セカント数(secant number)は、次のように定義されます。
\[ \sec x = \sum_{n=0}^{\infty} S_{2n} \frac{x^{2n}}{(2n)!} \]この \( S_{2n} \) がセカント数です。具体的には以下のような値になります。
- \( S_0 = 1 \)
- \( S_2 = 1 \)
- \( S_4 = 5 \)
- \( S_6 = 61 \)
- \( S_8 = 1385 \)
偶数長の交代順列数に対応しており、こちらも交代順列との深い関係があります。
例題と応用問題
例題1:長さ3の交代順列の数
長さ3の順列全体は \( 3! = 6 \) 通りありますが、そのうち交代順列は次の2通りです。
- 132(上がって下がる)
- 213(下がって上がる)
したがって、交代順列の数は 2 です。これは \( E_3 = 2 \) と一致します。
例題2:交代順列数とタンジェント数
交代順列数のうち奇数長のものの個数は、タンジェント関数の展開係数と一致します。例えば、
長さ5の交代順列数 \( E_5 = 16 \)、これはタンジェント数 \( T_5 = 16 \) に一致します。
応用問題:交代順列の数の計算
交代順列数 \( E_n \) を求めるには、次の母関数を使う方法もあります。
\[ \tan x + \sec x = \sum_{n=0}^{\infty} E_n \frac{x^n}{n!} \]この展開を使うことで、交代順列数 \( E_n \) を直接的に求めることができます。
応用問題:タンジェント数を使った接線の勾配計算
関数 \( y = \tan x \) の高階微分係数を求めるとき、タンジェント数が係数として登場します。例えば、
\[ \left. \frac{d^5}{dx^5} \tan x \right|_{x=0} = T_5 = 16 \]このように微分演算に現れる係数と交代順列が結びつく例です。
まとめ
- 交代順列とは、「上がる」「下がる」が交互に現れる順列。
- 交代順列の数はオイラー数とも呼ばれ、タンジェント数・セカント数と関係が深い。
- タンジェント数は奇数階の係数、セカント数は偶数階の係数として登場。
- 微分や展開式、順列の計算問題など応用範囲が広い。
これらの知識は、数学オリンピックや大学入試の難問にもつながるテーマです。高校数学の枠を超えた思考力が問われる応用にもチャレンジしてみましょう。