高校生でもわかる!CAPMで期待リターンを求める方法【基礎から応用まで徹底解説】
目次
CAPMとは何か?
CAPM(Capital Asset Pricing Model)は、ある資産の「期待リターン(将来得られる利益の平均値)」がどのように決まるかを説明する金融理論です。これは投資の世界でとても重要な考え方で、株式投資のリスクとリターンの関係を数学的に理解するためのツールです。
簡単に言うと、「リスクが大きいほど見返りも大きい」という直感を、数式を使って説明するモデルです。
CAPMの数式と意味
CAPMの基本式は以下の通りです:
\[ E(R_i) = R_f + \beta_i (E(R_m) – R_f) \]各記号の意味は以下の通りです:
- \(E(R_i)\):資産\(i\)の期待リターン
- \(R_f\):無リスク資産のリターン(たとえば国債の利回り)
- \(E(R_m)\):市場全体(例えば株価指数)の期待リターン
- \(\beta_i\):資産\(i\)の「ベータ」、市場との連動度を表す係数
\(\beta_i\)は、株価が市場にどのくらい連動するかを示します。例えば、\(\beta = 1\)なら市場と同じくらいリスクがあり、\(\beta = 2\)なら市場の2倍のリスク、つまりもっと大きく上下に動く株という意味です。
基本例題:CAPMで期待リターンを計算してみよう
次の情報をもとに、資産の期待リターンを求めてみましょう。
- 無リスク資産のリターン:\(R_f = 2\%\)
- 市場の期待リターン:\(E(R_m) = 8\%\)
- 資産のベータ:\(\beta = 1.5\)
CAPMの式に代入すると:
\[ E(R_i) = 0.02 + 1.5 \times (0.08 – 0.02) = 0.02 + 1.5 \times 0.06 = 0.02 + 0.09 = 0.11 \]つまり、この資産の期待リターンは11%になります。
応用例:ベータが異なる複数資産を比較
以下のような3つの資産があったとします。どれが最もリスクが高く、リターンが大きいでしょうか?
- 資産A:\(\beta = 0.8\)
- 資産B:\(\beta = 1.0\)
- 資産C:\(\beta = 1.5\)
無リスク資産のリターン:\(R_f = 1\%\)、市場リターン:\(E(R_m) = 7\%\)
それぞれの期待リターンを求めます:
-
資産A:
\[ E(R_A) = 0.01 + 0.8 \times (0.07 – 0.01) = 0.01 + 0.8 \times 0.06 = 0.01 + 0.048 = 0.058 = 5.8\% \] -
資産B:
\[ E(R_B) = 0.01 + 1.0 \times (0.07 – 0.01) = 0.01 + 0.06 = 0.07 = 7.0\% \] -
資産C:
\[ E(R_C) = 0.01 + 1.5 \times (0.07 – 0.01) = 0.01 + 0.09 = 0.10 = 10.0\% \]
このように、ベータが大きいほど期待リターンも大きくなります。ただし、それだけリスク(価格の変動)も大きいので注意が必要です。
経済学的な応用と意義
CAPMは、金融経済学の中で「効率的市場」や「リスク・リターンの均衡」を説明する際に使われます。以下のような応用例があります。
- 企業の資本コスト(WACC)を計算する
- ポートフォリオ理論と組み合わせて最適な投資配分を決める
- 証券市場の効率性を調べるための実証分析
特に大学以降の経済学では、CAPMを使って市場メカニズムの分析や資産価格のモデル化を行います。将来、経済学や金融学を学びたい高校生には、CAPMの理解が大きな武器になるでしょう。
まとめ
- CAPMは資産の期待リターンを、リスクに応じて数式で求める理論
- ベータが大きいほどリターンもリスクも大きくなる
- 経済学や投資、企業評価にも応用される重要な考え方
高校数学がある程度わかれば、CAPMの基本は理解できます。将来の進路や教養としてもぜひ覚えておきましょう。