高校生にもわかる!CAPMとベータ係数のしくみと応用を完全解説

高校生にもわかる!CAPMとベータ係数のしくみと応用を完全解説

目次

CAPMとは何か?

CAPM(Capital Asset Pricing Model:資本資産評価モデル)は、資産の期待収益率を市場全体のリスクとの関係から説明する理論です。 投資家は、リスクが大きいほど高いリターンを期待するという基本的な考え方に基づいています。

CAPMの基本式は以下のとおりです:

\[ E[R_i] = R_f + \beta_i(E[R_m] – R_f) \]
  • \(E[R_i]\):資産\(i\)の期待収益率
  • \(R_f\):無リスク資産の利子率(たとえば国債)
  • \(E[R_m]\):市場全体(たとえば株式市場全体)の期待収益率
  • \(\beta_i\):資産\(i\)のベータ係数(リスクの指標)

この式によって、どれだけリスク(=市場とどれだけ連動するか)を取れば、どれだけのリターンが得られるかが理論的に示されます。

ベータ係数の意味と役割

ベータ係数(\(\beta\))は、ある資産が市場全体に対してどれだけ感応的に動くかを表す指標です。

  • \(\beta = 1\):市場全体と同じ動きをする(たとえば、インデックスファンド)
  • \(\beta > 1\):市場よりも大きく動く(リスクが高い=リターンも高い可能性)
  • \(\beta < 1\):市場よりも小さく動く(リスクが低い=リターンも控えめ)
  • \(\beta < 0\):市場と逆の動きをする(リスク分散に役立つ)

ベータ係数は、投資判断において非常に重要な役割を果たします。 リスクとリターンのバランスを考える際、ベータは投資家の意思決定の中心となります。

ベータ係数の計算方法

ベータ係数は統計学の共分散と分散を使って計算されます:

\[ \beta_i = \frac{\text{Cov}(R_i, R_m)}{\text{Var}(R_m)} \]
  • \(\text{Cov}(R_i, R_m)\):資産\(i\)と市場の収益率の共分散
  • \(\text{Var}(R_m)\):市場の収益率の分散

ExcelやRなどのツールを使って、株価データからこの値を計算することが可能です。

具体例で学ぶCAPMとベータ

例題1:ベータを使って期待収益率を求める

ある株式Aについて、次の情報が与えられています。

  • \(R_f = 2\%\)
  • \(E[R_m] = 8\%\)
  • \(\beta_A = 1.5\)

このとき、株式Aの期待収益率は次のように求められます:

\[ E[R_A] = 0.02 + 1.5 \times (0.08 – 0.02) = 0.02 + 0.09 = 0.11 = 11\% \]

例題2:ベータが1未満のケース

次に、株式Bが\(\beta = 0.7\)とすると、より安定的な値動きが期待されます。

\[ E[R_B] = 0.02 + 0.7 \times (0.08 – 0.02) = 0.02 + 0.042 = 0.062 = 6.2\% \]

リスクを抑えた投資をしたい人にとって、株式Bのような低ベータ資産は魅力的です。

経済学におけるCAPMの応用

CAPMはファイナンスだけでなく、経済学においても広く応用されています。 例えば以下のような場面です。

  • 企業の資本コストの算定:企業が新規投資を判断する際の基準として使われます。
  • ポートフォリオ理論:複数の資産をどう組み合わせればリスクを抑えつつリターンを高められるかを分析する上で重要なパラメータとなります。
  • マクロ経済とのリンク:リスクプレミアムの変動は、景気や金利動向とも関係があるため、マクロ経済分析にも役立ちます。

まとめ

CAPMは、リスクとリターンの関係を数式で明示的に示したモデルであり、経済学や金融の世界で非常に重要な理論です。

特にベータ係数は、個別資産のリスクを数量化する上で欠かせない指標です。 例題を通じて、具体的なイメージがつかめたでしょうか?

高校生でも理解できるように、基本から丁寧に学べば、大学レベルの経済学の理論にも十分ついていくことが可能です。

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