【徹底解説】ラグランジュの恒等式とは?例題で高校数学を完全攻略!

【徹底解説】ラグランジュの恒等式とは?例題で高校数学を完全攻略!

高校数学のベクトル分野では、様々な恒等式が登場しますが、その中でも「ラグランジュの恒等式」は特に重要で奥が深い内容です。このページでは、ラグランジュの恒等式の定義、導出、例題、そして応用方法まで、基礎から丁寧に解説していきます。

目次

ラグランジュの恒等式とは?

ラグランジュの恒等式とは、3次元ベクトル空間において以下のような恒等式です:

$$ |\vec{a} \times \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 – (\vec{a} \cdot \vec{b})^2 $$

この恒等式は、「ベクトルの外積の大きさの2乗が、各ベクトルの大きさの積の2乗から内積の2乗を引いたものに等しい」ということを示しています。

つまり、次のような図形的意味を持ちます:

  • 左辺:
    2つのベクトルが張る平行四辺形の面積の2乗
  • 右辺:
    ベクトルの大きさと角度から計算される式

この恒等式は、ベクトルの関係を式として表すうえで非常に強力なツールです。

恒等式の導出

ラグランジュの恒等式を導出するために、まず以下のベクトルの性質を用います:

  • ベクトルの外積の大きさは:
    \( |\vec{a} \times \vec{b}| = |\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta \)
  • ベクトルの内積は:
    \( \vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta \)

この2つを2乗して整理すると:

\[ \begin{align*} |\vec{a} \times \vec{b}|^2 &= |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 \sin^2\theta \\ (\vec{a} \cdot \vec{b})^2 &= |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 \cos^2\theta \end{align*} \] よって、次のように結びつきます: \[ |\vec{a} \times \vec{b}|^2 + (\vec{a} \cdot \vec{b})^2 = |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 (\sin^2\theta + \cos^2\theta) = |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 \] \[ \Rightarrow |\vec{a} \times \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 – (\vec{a} \cdot \vec{b})^2 \]

例題で理解しよう

例題1:基本ベクトルを使った確認

ベクトル \( \vec{a} = (1, 2, 3) \), \( \vec{b} = (4, 5, 6) \) のとき、ラグランジュの恒等式を確かめよ。

解答:

1. 外積を計算:

\[ \vec{a} \times \vec{b} = \begin{vmatrix} \vec{i} & \vec{j} & \vec{k} \\ 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \\ \end{vmatrix} = (-3, 6, -3) \]

その大きさの2乗:

\[ |\vec{a} \times \vec{b}|^2 = (-3)^2 + 6^2 + (-3)^2 = 9 + 36 + 9 = 54 \]

2. 各ベクトルの大きさの2乗:

\[ |\vec{a}|^2 = 1^2 + 2^2 + 3^2 = 14,\quad |\vec{b}|^2 = 4^2 + 5^2 + 6^2 = 77 \] \[ |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 = 14 \times 77 = 1078 \]

3. 内積の2乗:

\[ \vec{a} \cdot \vec{b} = 1\cdot4 + 2\cdot5 + 3\cdot6 = 32,\quad (\vec{a} \cdot \vec{b})^2 = 1024 \]

4. 恒等式の確認:

\[ |\vec{a} \times \vec{b}|^2 = 1078 – 1024 = 54 \quad \text{← OK!} \]

例題2:ベクトルの角度を使う応用

ベクトル \( \vec{a}, \vec{b} \) のなす角が \(60^\circ\)、大きさがそれぞれ 3, 4 のとき、外積の大きさを求めよ。

解答:

外積の大きさ:

\[ |\vec{a} \times \vec{b}| = 3 \cdot 4 \cdot \sin 60^\circ = 12 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = 6\sqrt{3} \]

2乗すると:

\[ |\vec{a} \times \vec{b}|^2 = (6\sqrt{3})^2 = 108 \]

ラグランジュの恒等式でも確認:

\[ |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 = 9 \cdot 16 = 144,\quad (\vec{a} \cdot \vec{b}) = 3 \cdot 4 \cdot \cos 60^\circ = 6,\quad \text{2乗すると } 36 \] \[ 144 – 36 = 108 \quad \text{← 一致!} \]

応用と活用方法

ラグランジュの恒等式は次のような応用が可能です:

  • ベクトルのなす角の確認
  • ベクトルが直交するかの判定
  • 空間図形の面積計算(平行四辺形・三角形)
  • 線形独立の判定(外積がゼロなら平行)

また、大学以降ではテンソル解析や物理学(特に電磁気学)においてもこの恒等式は非常に重要です。

まとめ

  • ラグランジュの恒等式は、ベクトルの内積・外積・大きさの間の関係を表す強力なツールです。
  • 図形的にも意味があり、平行四辺形の面積や角度を求めるのに役立ちます。
  • 例題を通して具体的に計算練習をすることで、理解が深まります。
  • 試験対策としても応用が効くため、しっかりマスターしましょう。
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