高校数学|相反方程式を徹底解説!仕組みと解法を例題でマスター
目次
相反方程式とは?
相反方程式(そうはんほうていしき)とは、係数に特別な対称性をもつ多項式方程式のことです。特に、高次項と定数項、2次項と\( (n-2) \)次項などが「反対称」に対応しているという特徴を持ちます。
一般に、\( n \)次方程式 \[ a_0x^n + a_1x^{n-1} + \cdots + a_{n-1}x + a_n = 0 \] が次の条件を満たすとき、これを相反方程式と呼びます:
- \( a_k = a_{n-k} \)(対称)または
- \( a_k = -a_{n-k} \)(交代対称)
このような性質を持つ方程式では、解に関しても対称性が現れるため、効率的な解法が存在します。
相反方程式の構造
例えば、4次の相反方程式: \[ x^4 + 3x^3 + 5x^2 + 3x + 1 = 0 \] は、係数が左右対称になっていることがわかります。
一方で、 \[ x^4 – 3x^3 + 5x^2 – 3x + 1 = 0 \] のように、交互に符号が反転する場合は交代相反方程式と呼ばれます。
相反方程式の最大の特徴は「解がひっくり返る」という性質で、もし \( \alpha \) が解ならば、\( \frac{1}{\alpha} \) も解になります(ただし \( \alpha \neq 0 \))。
相反方程式の解き方
相反方程式を解くためには、次のステップが有効です:
- 変数変換: \( x + \frac{1}{x} = t \) を使う
- 次数を半分に下げて、解の候補を減らす
- 元の方程式に戻して解を求める
例として、次の方程式を解いてみましょう:
\[ x^4 + x^3 + 2x^2 + x + 1 = 0 \]この式は左右対称ですので、相反方程式です。両辺を \( x^2 \) で割ると:
\[ x^2 + x + 2 + \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} = 0 \]ここで、\( x + \frac{1}{x} = t \) と置くと、
\[ x^2 + \frac{1}{x^2} = t^2 – 2 \]よって元の式は
\[ t^2 – 2 + t + 2 = 0 \Rightarrow t^2 + t = 0 \Rightarrow t(t + 1) = 0 \]解は \( t = 0 \), \( t = -1 \) より、それぞれ \( x + \frac{1}{x} = 0 \), \( x + \frac{1}{x} = -1 \) を解きます。
\( x + \frac{1}{x} = 0 \Rightarrow x^2 + 1 = 0 \Rightarrow x = \pm i \)
\( x + \frac{1}{x} = -1 \Rightarrow x^2 + 1 + x = 0 \Rightarrow x^2 + x + 1 = 0 \Rightarrow x = \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2} \)
以上より、解は \( x = \pm i, \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2} \) となります。
例題で学ぶ相反方程式
例題1:基本的な対称相反方程式
\[ x^4 + 6x^3 + 10x^2 + 6x + 1 = 0 \] 解法: 対称性があるので、変数変換 \( x + \frac{1}{x} = t \) を使います。
両辺を \( x^2 \) で割ると: \[ x^2 + 6x + 10 + \frac{6}{x} + \frac{1}{x^2} = (x + \frac{1}{x})^2 + 4(x + \frac{1}{x}) + 4 \] などと整理できます。あるいは、\( x^2 + \frac{1}{x^2} \) を \( t^2 – 2 \) に変換して代入する方が一般的です。
例題2:交代相反方程式
\[ x^4 – 2x^3 + 3x^2 – 2x + 1 = 0 \] 解法: この式は交互に符号が変化しており、交代相反方程式です。交代相反方程式の特徴として、必ず \( x = \pm 1 \) を代入して確認してみる価値があります。
\( x = 1 \) のとき:\( 1 – 2 + 3 – 2 + 1 = 1 \neq 0 \)
\( x = -1 \) のとき:\( 1 + 2 + 3 + 2 + 1 = 9 \neq 0 \)
今回は整数解がなさそうなので、やはり変数変換をして2次方程式へと変形するアプローチをとるのが効果的です。
よくあるミスと解法のコツ
- 相反方程式の特徴に気づかないと、ただの4次方程式として解こうとして苦労する。
- 「左右対称」と「交互に符号が反転する」違いを意識する。
- \( x + \frac{1}{x} = t \) の変数変換は強力だが、使い所を見極める。
- 方程式を \( x^2 \) で割るステップを忘れない。
まとめ
相反方程式は一見複雑そうに見えても、係数の対称性を活かすことで効率的に解くことができます。特に、変数変換によって次数を下げる手法は非常に有効です。
問題に取り組む際には、まず「対称性があるか」をチェックすることが第一歩。そこに気づければ、解法の方向性が一気に見えてきます。
基礎からしっかり理解し、多くの例題に取り組むことで、相反方程式の問題にも自信を持って対応できるようになります。