高校数学を制する!対称式と基本対称式の完全理解ガイド
目次
対称式とは何か?
対称式とは、変数の入れ替えによって式の形が変わらない多項式のことです。 例えば \(x\) と \(y\) の対称式は、\(x\) と \(y\) を入れ替えても同じ値になります。
代表的な例:
- \(x + y\)
- \(xy\)
- \(x^2 + y^2\)
- \(x^3 + y^3 + 3xy(x + y)\)
これらはいずれも、\(x \leftrightarrow y\) をしても式が変わりません。
この性質を利用することで、複雑な式でも簡単に変形したり、計算を楽にしたりできます。 高校数学では2変数や3変数の対称式がよく登場します。
基本対称式とは?
基本対称式とは、変数の組み合わせによる最も基本的な対称式で、任意の対称式はこれらを使って表すことができます。
2変数 \(x, y\) の場合:
- 1次の基本対称式:\(x + y\)
- 2次の基本対称式:\(xy\)
3変数 \(x, y, z\) の場合:
- 1次の基本対称式:\(x + y + z\)
- 2次の基本対称式:\(xy + yz + zx\)
- 3次の基本対称式:\(xyz\)
これらをうまく使うことで、複雑な対称式も整理され、効率よく解けるようになります。
対称式を基本対称式で表す方法
任意の対称式は、基本対称式の式に書き換えることができます。これを「基本対称式による表現」と呼びます。
たとえば、次のような変形が可能です:
対称式 \(x^2 + y^2\) を基本対称式 \(x + y, xy\) を使って表すと、
\[ x^2 + y^2 = (x + y)^2 – 2xy \]
このように、複雑な式も基本対称式に置き換えることで、共通の構造に落とし込むことができます。
3変数でも同様に展開可能です。たとえば、\(x^2 + y^2 + z^2\) は以下のように表せます:
\[ x^2 + y^2 + z^2 = (x + y + z)^2 – 2(xy + yz + zx) \]
具体例で学ぶ!展開と変形
例題1
次の式を基本対称式を使って表してください:
\(x^2 + y^2 + z^2\)
解答:
\[ x^2 + y^2 + z^2 = (x + y + z)^2 – 2(xy + yz + zx) \]
例題2
\(x^3 + y^3\) を \(x + y\) と \(xy\) を使って表してください。
解答:
\[ x^3 + y^3 = (x + y)^3 – 3xy(x + y) \]
このように、式変形の基本として、因数分解や展開を通じて、式を基本対称式で統一的に扱えるようにします。
よくある問題とその解法
問題1
\(x + y = 5, xy = 6\) のとき、\(x^2 + y^2\) の値を求めよ。
解答:
\[ x^2 + y^2 = (x + y)^2 – 2xy = 25 – 12 = 13 \]
問題2
\(x + y + z = 6, xy + yz + zx = 11, xyz = 6\) のとき、
\(x^3 + y^3 + z^3\) の値を求めよ。
解答:
対称式の公式より: \[ x^3 + y^3 + z^3 = (x + y + z)^3 – 3(x + y + z)(xy + yz + zx) + 3xyz \] \[ = 6^3 – 3 \cdot 6 \cdot 11 + 3 \cdot 6 = 216 – 198 + 18 = 36 \]
まとめと学習アドバイス
対称式と基本対称式の理解は、数学の論理的思考力を高める基盤になります。高校数学では数IIIで多変数の対称式が登場するため、今のうちにしっかりと仕組みを理解しておくと後々非常に有利になります。
学習のポイント:
- まずは2変数の対称式と基本対称式の関係を徹底理解。
- よく使う公式(特に2次、3次の展開公式)を暗記しよう。
- 基本対称式を使って複雑な式を変形する練習を繰り返す。
- 与えられた情報(和と積)から必要な値を計算するスキルを養う。
応用力をつけるには、多くのパターンの問題を解き、式変形に慣れることが最も効果的です。