【高校数学】調和平均の意味・使い方・例題を徹底解説!
調和平均は「平均」の一種で、特に速さや割合を扱う問題で登場します。算術平均や幾何平均と違い、少しクセのあるこの平均を正しく理解することが、数学の成績アップにつながります。この記事では、調和平均の定義から典型的な使い方、よくある例題まで徹底的に解説します。
目次
調和平均とは?
調和平均(harmonic mean)とは、以下のような形で定義される平均の一種です:
\( n \) 個の数値 \( x_1, x_2, \ldots, x_n \) に対して、
\[ \text{調和平均} = \frac{n}{\displaystyle \sum_{i=1}^{n} \frac{1}{x_i}} \]
この定義を見ると分かるように、調和平均は逆数の平均の逆数とも言えます。算術平均が値そのものの平均を取るのに対して、調和平均はその逆数の平均を取るという点がポイントです。
算術平均・幾何平均との違い
ここで、他の平均と比較してみましょう。
- 算術平均(一般的な平均): \[ \frac{x_1 + x_2 + \cdots + x_n}{n} \]
- 幾何平均: \[ \sqrt[n]{x_1 \cdot x_2 \cdots x_n} \]
- 調和平均: \[ \frac{n}{\displaystyle \sum_{i=1}^{n} \frac{1}{x_i}} \]
一般に、すべての値が等しい場合を除き、
\[ \text{調和平均} \leq \text{幾何平均} \leq \text{算術平均} \]
が成り立ちます。
調和平均を使う場面とは?
調和平均は、次のような場面で使用します:
- 一定の距離を異なる速さで移動する場面(速さの平均)
- 割合が関係する問題(例えば単価や燃費など)
「距離が一定」で「速さが変化する」場合に「平均の速さ」を求める問題では、調和平均が必要になります。
調和平均の公式
基本的な公式は以下の通りです:
2つの値 \( a \) と \( b \) の調和平均は: \[ \frac{2ab}{a + b} \]
3つ以上の値に対しては: \[ \frac{n}{\displaystyle \frac{1}{x_1} + \frac{1}{x_2} + \cdots + \frac{1}{x_n}} \]
調和平均の典型例題と解き方
例題1:速さの平均
A地点からB地点までの距離が同じで、行きは時速60km、帰りは時速40kmで移動したとき、平均の速さはいくらか?
この場合、距離は同じなので調和平均を使います。
\[ \frac{2 \cdot 60 \cdot 40}{60 + 40} = \frac{4800}{100} = 48 \, \text{km/h} \]
例題2:単価の平均
1kg 100円の品物と、1kg 200円の品物を同じ金額ずつ買ったときの平均単価を求めよ。
このように「金額を等しくして買った場合」は調和平均を使います。
\[ \frac{2 \cdot 100 \cdot 200}{100 + 200} = \frac{40000}{300} = 約133.3 \, \text{円/kg} \]
例題3:作業の平均時間
Aさんは1時間で作業を1つこなせます。Bさんは2時間で1つこなします。2人が協力して同じ作業をした場合、平均的な作業時間は?
処理速度の逆数(時間)が異なるため、調和平均を使うと:
\[ \frac{2 \cdot 1 \cdot 2}{1 + 2} = \frac{4}{3} \, \text{時間} = 1時間20分 \]
応用問題と注意点
注意点1:使い分けに注意
調和平均を使うべき問題は、「比」や「割合」が問題の本質になっている場合に限ります。距離や金額が等しいときに限られ、安易にすべての平均問題に使うとミスになります。
応用例題:複数区間での速さ
3区間の距離が等しく、それぞれの区間の速さが30km/h、60km/h、90km/hだったときの平均の速さを求めよ。
\[ \text{調和平均} = \frac{3}{\displaystyle \frac{1}{30} + \frac{1}{60} + \frac{1}{90}} = \frac{3}{\frac{1}{30} + \frac{1}{60} + \frac{1}{90}} \]
分母の計算: \[ \frac{1}{30} + \frac{1}{60} + \frac{1}{90} = \frac{6 + 3 + 2}{180} = \frac{11}{180} \]
\[ \text{調和平均} = \frac{3}{\frac{11}{180}} = \frac{3 \cdot 180}{11} = \frac{540}{11} \approx 49.1 \, \text{km/h} \]
まとめ
- 調和平均は「逆数の平均の逆数」であり、速さや割合に関する問題で使う
- 「距離が等しい」「金額が等しい」などの条件がキーワード
- 公式を使いこなすことで、複雑な速さや割合の問題が一気に解ける
調和平均の理解が深まることで、テストや入試でも対応力が高まります。特に問題文から「どの平均を使うか」を判断する力をつけましょう。