【完全理解】sinとcosのマクローリン展開を基礎から徹底解説!

【完全理解】sinとcosのマクローリン展開を基礎から徹底解説!

本記事では、三角関数 sincos のマクローリン展開について、定義から導出、具体例まで丁寧に解説します。微分の基礎や、テイラー展開との関係も扱い、大学初級~高校数学レベルの内容をすべて網羅しています。

目次

マクローリン展開とは?

マクローリン展開は、関数を原点(x = 0)のまわりで多項式として近似する手法です。テイラー展開の特別な場合であり、一般に次の形で表されます:

$$ f(x) = f(0) + f'(0)x + \frac{f”(0)}{2!}x^2 + \frac{f^{(3)}(0)}{3!}x^3 + \cdots $$

この展開が有効なのは、関数がその点で無限回微分可能で、かつ級数が収束する場合です。三角関数である sin(x)cos(x) はこの条件を満たします。

sin(x)のマクローリン展開

まずは、sin(x) の微分をいくつか求めてみましょう。

  • \( f(x) = \sin(x) \)
  • \( f'(x) = \cos(x) \)
  • \( f”(x) = -\sin(x) \)
  • \( f^{(3)}(x) = -\cos(x) \)
  • \( f^{(4)}(x) = \sin(x) \)(以後、4つ周期)

これを x = 0 で代入すると:

  • \( f(0) = 0 \)
  • \( f'(0) = 1 \)
  • \( f”(0) = 0 \)
  • \( f^{(3)}(0) = -1 \)
  • \( f^{(4)}(0) = 0 \)

よって、マクローリン展開は次のようになります:

$$ \sin(x) = x – \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} – \frac{x^7}{7!} + \cdots = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{(2n+1)!}x^{2n+1} $$

cos(x)のマクローリン展開

次に、cos(x) の場合も同様に微分を確認しましょう。

  • \( f(x) = \cos(x) \)
  • \( f'(x) = -\sin(x) \)
  • \( f”(x) = -\cos(x) \)
  • \( f^{(3)}(x) = \sin(x) \)
  • \( f^{(4)}(x) = \cos(x) \)(こちらも4つ周期)

これを x = 0 で代入すると:

  • \( f(0) = 1 \)
  • \( f'(0) = 0 \)
  • \( f”(0) = -1 \)
  • \( f^{(3)}(0) = 0 \)
  • \( f^{(4)}(0) = 1 \)

よって、マクローリン展開は次のようになります:

$$ \cos(x) = 1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \frac{x^6}{6!} + \cdots = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{(2n)!}x^{2n} $$

マクローリン展開の具体例

以下に、sin(x)とcos(x)のマクローリン展開を使って、近似計算の具体例を示します。

例1:\( \sin(0.1) \) の近似

3項までの近似で: $$ \sin(0.1) \approx 0.1 – \frac{(0.1)^3}{6} + \frac{(0.1)^5}{120} \approx 0.099833 $$ 実際の値(電卓):約 0.0998334166(高精度!)

例2:\( \cos(0.1) \) の近似

3項までの近似で: $$ \cos(0.1) \approx 1 – \frac{(0.1)^2}{2} + \frac{(0.1)^4}{24} \approx 0.995004 $$ 実際の値:約 0.9950041653

収束半径と収束性の確認

sin(x) や cos(x) のマクローリン展開は、すべての実数 x に対して収束します。これは、収束半径が無限大であることを意味し、解析関数の性質によるものです。

応用例:小角近似と物理への応用

小さい角度 \( x \) に対しては、sin(x) ≈ xcos(x) ≈ 1 - x^2/2 という近似がよく使われます。これは、マクローリン展開の最初の数項だけを使った近似です。

この近似は、物理の振り子の運動や光学の波動解析など、さまざまな場面で利用されます。

まとめ

  • マクローリン展開は、関数を多項式で近似する強力な手法。
  • sin(x)は奇数次の項だけを持つ。
  • cos(x)は偶数次の項だけを持つ。
  • 収束は全実数で成り立つため、近似にも応用可能。
  • 実際の計算では3~5項程度で高精度な近似が可能。

本記事で、マクローリン展開の理解が深まり、応用力も高まることを願っています。

コメントは受け付けていません。