0÷0や∞÷∞の極限に強くなる!ロピタルの定理を完全マスター

0÷0や∞÷∞の極限に強くなる!ロピタルの定理を完全マスター

0÷0や∞÷∞の極限に強くなる!ロピタルの定理を完全マスター

目次

ロピタルの定理とは

ロピタルの定理(L’Hôpital’s Rule)は、不定形と呼ばれる極限(たとえば \( \frac{0}{0} \) や \( \frac{\infty}{\infty} \))を計算する際に用いられる重要な定理です。微分の概念を使って、直接極限が求めにくい場合でも評価できる強力なツールです。

この定理は、実際にはベルヌーイによって発見されましたが、それを最初に出版したのがフランスの貴族ロピタル侯爵であったことから、この名前で知られています。

ロピタルの定理が使える状況

ロピタルの定理が適用できる主なケースは以下の通りです:

  • \( \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{0}{0} \) となるとき
  • \( \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{\infty}{\infty} \) となるとき

このような状況では、分子・分母をそれぞれ微分して極限を求めることで、もとの極限が評価できることがあります。

ロピタルの定理の公式な定式化

以下がロピタルの定理の正式な定式化です:

関数 \( f(x) \), \( g(x) \) がある点 \( a \) の近傍で定義され、\( f(a) = g(a) = 0 \) または \( f(x), g(x) \to \pm\infty \) のような形を取るとき、もし \( g'(x) \neq 0 \) が成り立ち、極限

\[ \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)} \]

が存在するならば、

\[ \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)} \]

が成り立ちます。

ロピタルの定理の具体例

例1:\(\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x}\)

この極限は有名な基本極限で、答えは 1 です。実はロピタルの定理でも確認できます。

分子:\( \sin x \) → 微分して \( \cos x \)
分母:\( x \) → 微分して \( 1 \)

したがって、 \[ \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = \lim_{x \to 0} \frac{\cos x}{1} = 1 \]

例2:\(\lim_{x \to \infty} \frac{\ln x}{x}\)

分子:\( \ln x \) → 微分して \( \frac{1}{x} \)
分母:\( x \) → 微分して \( 1 \)

\[ \lim_{x \to \infty} \frac{\ln x}{x} = \lim_{x \to \infty} \frac{1/x}{1} = 0 \]

例3:\(\lim_{x \to 0^+} \frac{x}{\ln(1 + x)}\)

分子:\( x \) → 微分して \( 1 \)
分母:\( \ln(1 + x) \) → 微分して \( \frac{1}{1 + x} \)

\[ \lim_{x \to 0^+} \frac{x}{\ln(1 + x)} = \lim_{x \to 0^+} \frac{1}{\frac{1}{1 + x}} = \lim_{x \to 0^+} (1 + x) = 1 \]

その他の不定形とロピタルの定理

ロピタルの定理は主に \( \frac{0}{0} \) や \( \frac{\infty}{\infty} \) に適用されますが、他の不定形でも変形を通じて適用可能です。

  • 不定形 \(0 \cdot \infty\):
    例:\( \lim_{x \to 0^+} x \cdot \ln x \)
    → 変形して \( \frac{\ln x}{1/x} \) とみなせばロピタル適用可能
  • 不定形 \(\infty – \infty\):
    例:\( \lim_{x \to \infty} (\sqrt{x^2 + x} – x) \)
    → 有理化するなどの変形が必要
  • 不定形 \(0^0\), \(\infty^0\), \(1^\infty\):
    → 対数を取ってから変形し、ロピタルの定理を用いる

ロピタルの定理を使う際の注意点

  • 不定形になっていることを必ず確認すること
  • 分母・分子が微分可能である必要がある
  • 極限が存在しない場合には適用できない
  • 1回の適用で極限が求まらない場合は、複数回の適用も可能

まとめ

ロピタルの定理は、極限計算において非常に有用なツールです。特に不定形の処理において、その威力を発揮します。ただし、機械的に使うのではなく、使用条件を満たしているかを常に確認する必要があります。しっかりと理解し、様々な応用例に慣れていくことで、数学の理解が深まることでしょう。

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