モニック多項式の解説【初心者向け】

モニック多項式の解説【初心者向け】

モニック多項式の解説

1. モニック多項式とは

モニック多項式とは、最高次の項の係数が 1 である一変数多項式のことを指します。一般的な形は以下の通りです:

\[ p(x) = x^n + c_{n-1}x^{n-1} + \dots + c_1x + c_0 \]

ここで、\( c_{n-1}, \dots, c_0 \) は定数であり、最高次の項 \( x^n \) の係数が 1 であることが特徴です。

2. モニック多項式の例

  • \( x^2 – 3x + 2 \)
  • \( x^3 + \frac{1}{2}x^2 – x + 5 \)
  • \( x^5 – \sqrt{2}x^2 + 7 \)
  • \( x \)
  • \( 1 \)

3. モニック多項式でない例

  • \( 2x^3 – x + 4 \)(最高次の項の係数が 2)
  • \( 3x \)(最高次の項の係数が 3)
  • \( 5 \)(定数項のみで変数が含まれていない)

4. モニック多項式の性質

4.1 積の性質

2つのモニック多項式の積もモニック多項式になります。例えば:

\[ (x + 1)(x – 2) = x^2 – x – 2 \]

このように、積の結果も最高次の項の係数が 1 であるため、モニック多項式となります。

4.2 割り算の性質

モニック多項式で他の多項式を割ると、商と余りも同じ係数の集合内に収まります。例えば、整数係数のモニック多項式で整数係数の多項式を割ると、商と余りも整数係数になります。

一般に、可換環 \( R \) 上の多項式環 \( R[x] \) において、モニック多項式 \( g(x) \) で任意の多項式 \( f(x) \) を割ると、以下のように表すことができます:

\[ f(x) = g(x)q(x) + r(x) \]

ここで、\( q(x), r(x) \in R[x] \) であり、\( \deg(r) < \deg(g) \) です。

5. 関連する概念

5.1 整元(Integral Element)

可換環 \( R \) の元 \( \alpha \) が、係数が \( R \) に属するモニック多項式の根である場合、\( \alpha \) は \( R \) 上の整元と呼ばれます。つまり、以下のようなモニック多項式が存在します:

\[ \alpha^n + a_{n-1}\alpha^{n-1} + \dots + a_1\alpha + a_0 = 0 \]

ここで、\( a_i \in R \) です。

5.2 代数的整数(Algebraic Integer)

整数係数のモニック多項式の根となる複素数は、代数的整数と呼ばれます。例えば、\( \sqrt{2} \) は以下のモニック多項式の根であるため、代数的整数です:

\[ x^2 – 2 = 0 \]

6. まとめ

モニック多項式は、最高次の項の係数が 1 である一変数多項式であり、代数学において重要な役割を果たします。その性質や関連する概念を理解することで、数学の理解が深まります。

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