図形の謎を解く!高校数学で使える余弦定理の完全ガイド
目次
余弦定理とは?
余弦定理(Cosine Theorem)は、三角形の辺の長さと角度の関係を表す公式です。 特に直角三角形でなくても、任意の三角形において辺と角の関係を数式で表現できます。
三角形において「ある角度とその隣接辺の長さ」がわかっているとき、「もう1辺の長さ」や「角度」を求めることができます。 これは図形問題だけでなく、物理や工学の分野でも広く応用されています。
余弦定理の公式
三角形 \( ABC \) において、辺の長さをそれぞれ次のように定義します:
- \( a = BC \)
- \( b = CA \)
- \( c = AB \)
そして、角 \( A \) の余弦定理は次のように表されます:
\[ a^2 = b^2 + c^2 – 2bc\cos A \]
同様に、他の角についても:
- \( b^2 = a^2 + c^2 – 2ac\cos B \)
- \( c^2 = a^2 + b^2 – 2ab\cos C \)
余弦定理が使える場面
余弦定理は以下のような場面で活用されます:
- 三角形の2辺とその間の角がわかっていて、残りの辺の長さを求めたいとき
- 三角形の3辺の長さがわかっていて、角度を求めたいとき
- 直角三角形でない図形問題で、三角関係を式で処理したいとき
余弦定理の証明
ここでは座標を用いた証明を紹介します。
次のように三角形を配置します:
- 点 \( A \) を原点 \( (0, 0) \)
- 点 \( B \) を \( (c, 0) \)
- 点 \( C \) を \( (x, y) \)
このとき、辺の長さは次のようになります:
- \( a^2 = (x – c)^2 + y^2 \)
- \( b^2 = x^2 + y^2 \)
- \( c \) は座標から与えられています(辺 \( AB \))
角 \( A \) の余弦は、ベクトル \( \vec{AB} \) と \( \vec{AC} \) のなす角から次のように求められます:
\[ \cos A = \frac{\vec{AB} \cdot \vec{AC}}{|\vec{AB}||\vec{AC}|} = \frac{cx}{c \sqrt{x^2 + y^2}} = \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}} \]
一方、\( a^2 = (x – c)^2 + y^2 = x^2 – 2cx + c^2 + y^2 \)。
ここで \( x^2 + y^2 = b^2 \) より:
\[ a^2 = b^2 + c^2 – 2bc\cos A \]が導かれ、余弦定理が証明されました。
例題で学ぼう
例題1:2辺と角から1辺を求める
三角形 \( ABC \) において、\( b = 7 \), \( c = 5 \), \( A = 60^\circ \) のとき、辺 \( a \) の長さを求めよ。
\[ a^2 = b^2 + c^2 – 2bc\cos A = 7^2 + 5^2 – 2 \cdot 7 \cdot 5 \cdot \cos 60^\circ \]
\[ a^2 = 49 + 25 – 70 \cdot \frac{1}{2} = 74 – 35 = 39 \Rightarrow a = \sqrt{39} \approx 6.24 \]
例題2:3辺から角度を求める
三角形の辺の長さが \( a = 6 \), \( b = 7 \), \( c = 8 \) のとき、角 \( A \) の大きさを求めよ。
\[ a^2 = b^2 + c^2 – 2bc\cos A \Rightarrow \cos A = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc} \]
\[ \cos A = \frac{49 + 64 – 36}{2 \cdot 7 \cdot 8} = \frac{77}{112} \approx 0.6875 \Rightarrow A \approx \cos^{-1}(0.6875) \approx 46.57^\circ \]
まとめ
- 余弦定理は任意の三角形に適用できる強力な公式。
- 2辺と間の角、あるいは3辺が与えられたときに有効。
- 証明には座標やベクトル、内積を使うと分かりやすい。
- 図形問題、ナビゲーション、物理の分野でも活用される。
高校数学で余弦定理をマスターすることは、数学の力を大きく高める第一歩です。ぜひ例題を繰り返し解いて、確実に身につけましょう。