高校数学で完全理解!素数が無限にあることの証明と応用問題まとめ
目次
素数とは何か
素数とは、1と自分自身以外に正の約数を持たない自然数のことです。たとえば、2, 3, 5, 7, 11などが素数です。
注意してほしいのは、「1は素数ではない」ということです。素数の定義に「1以外の約数を持たない」という条件があるためです。
ユークリッドによる証明
古代ギリシャの数学者ユークリッドが示した有名な証明で、「素数は無限に存在する」ことがわかります。
以下にその証明を詳しく見ていきましょう。
証明の流れ
- 素数が有限個しかないと仮定する。
- その全ての素数をかけ合わせた数 \( P = p_1 \times p_2 \times \cdots \times p_n \) を作る。
- \( P + 1 \) を考える。この数は既知の素数では割り切れない。
- したがって、新たな素数が存在する必要があり、仮定に矛盾する。
具体例
たとえば、2, 3, 5の3つの素数しかないと仮定しましょう。
すると、
\[
P = 2 \times 3 \times 5 = 30
\]
\[
P + 1 = 31
\]
31は2でも3でも5でも割り切れません。実際、31は素数です。よって、仮定が間違っているとわかります。
例題で理解を深めよう
例題1:次の命題を証明せよ
「任意の自然数 \( n \) に対して、\( n! + 1 \) は少なくとも1つの素因数を持つ。」
これは、階乗 \( n! \) に1を加えると、すべての整数 \( 2 \) から \( n \) で割り切れないため、
新しい素因数が現れることを意味します。
例:\( n = 5 \) のとき
\[ 5! + 1 = 120 + 1 = 121 = 11^2 \]11は2〜5では割り切れない新たな素数です。
例題2:任意の素数より大きな素数を見つける方法
ユークリッドの証明は、新たな素数の発見にも使えます。
たとえば、2, 3, 5, 7の積は
\[
2 \times 3 \times 5 \times 7 = 210
\]
\[
210 + 1 = 211
\]
211は素数であり、元のリストにない新たな素数です。
応用問題に挑戦!
応用1:連続する合成数を作る
任意の自然数 \( n \) に対して、\( n \) 個連続する合成数が存在することを証明せよ。
以下のように構成します: \[ (n+1)! + 2, (n+1)! + 3, \dots, (n+1)! + (n+1) \] それぞれの数は、2〜\( n+1 \)のいずれかの数で割り切れるため合成数です。
応用2:無限に多くの素数が存在する別の証明
解析的な方法(オイラーの証明)では、以下の無限級数の発散性を用います: \[ \sum_{p \text{ is prime}} \frac{1}{p} \] この級数は発散することが知られており、素数が無限に存在することを示しています。
まとめ
- 素数は1と自分自身以外に約数を持たない自然数。
- ユークリッドの証明により、素数が無限に存在することが示された。
- 実際に積に1を足す操作で、新しい素数が得られる。
- この性質を利用して、応用的な問題にも挑戦可能。
- 数学オリンピックや入試にも出題される重要テーマ。