完全理解!オイラーのファイ関数とは?高校数学で使える応用例題も紹介
この記事では、オイラーのファイ関数(Euler’s totient function)について、高校生にも分かりやすく、基礎から応用まで徹底的に解説します。素数との関係や、整数の性質に関する深い理解を得ることができる内容です。
目次
オイラーのファイ関数とは?
オイラーのファイ関数(またはトーシェント関数)\(\phi(n)\) は、自然数 \(n\) に対して、\(1\) 以上 \(n\) 以下の自然数のうち、\(n\) と互いに素である数の個数を表します。
たとえば、\(\phi(8)\) の場合、\(1, 3, 5, 7\) が \(8\) と互いに素なので、\(\phi(8) = 4\) です。
基本例題と解説
例題1
\(\phi(9)\) を求めよ。
まず、\(1 \leq k \leq 9\) のうち、\(9\) と互いに素なものを数えます:
\(1, 2, 4, 5, 7, 8\) → 6個
したがって、\(\phi(9) = 6\)
例題2
\(\phi(13)\) を求めよ。
\(13\) は素数なので、\(\phi(13) = 13 – 1 = 12\)
ファイ関数の性質と公式
ファイ関数には以下のような性質があります:
- 素数 \(p\) に対して、\(\phi(p) = p – 1\)
- 一般に、\(p^k\)(\(p\) は素数)に対して、 \[ \phi(p^k) = p^k – p^{k-1} \]
- \(m\) と \(n\) が互いに素であるとき、 \[ \phi(mn) = \phi(m) \cdot \phi(n) \] (乗法性と呼ばれる性質)
- 任意の正の整数 \(n\) に対して、 \[ \phi(n) = n \prod_{p \mid n} \left(1 – \frac{1}{p}\right) \] (積の形による公式、ただし \(p\) は \(n\) の異なる素因数)
応用例題とその解き方
例題3
\(\phi(60)\) を求めよ。
まず、\(60 = 2^2 \cdot 3 \cdot 5\)
よって:
\[ \phi(60) = 60 \left(1 – \frac{1}{2}\right)\left(1 – \frac{1}{3}\right)\left(1 – \frac{1}{5}\right) = 60 \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{2}{3} \cdot \frac{4}{5} \] \[ = 60 \cdot \frac{8}{30} = 16 \]例題4
\(\phi(1000)\) を求めよ。
まず、\(1000 = 2^3 \cdot 5^3\)
\[ \phi(1000) = 1000 \left(1 – \frac{1}{2}\right)\left(1 – \frac{1}{5}\right) = 1000 \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{4}{5} = 1000 \cdot \frac{4}{10} = 400 \]ファイ関数の応用:互いに素な数の個数
例えば、「1から1000までのうち、ある数 \(n\) と互いに素な数はいくつあるか?」という問いに答えるには、\(\phi(n)\) を使えばよいのです。
応用例
1から100までの整数の中で、45と互いに素なものはいくつあるか?
まず、\(\phi(45)\) を求めます。
\(45 = 3^2 \cdot 5\)
\[ \phi(45) = 45 \left(1 – \frac{1}{3}\right)\left(1 – \frac{1}{5}\right) = 45 \cdot \frac{2}{3} \cdot \frac{4}{5} = 45 \cdot \frac{8}{15} = 24 \]したがって、45と互いに素な数は24個存在します。
まとめ
- オイラーのファイ関数 \(\phi(n)\) は、\(1\) から \(n\) までのうち、\(n\) と互いに素な自然数の個数を表す関数。
- 素因数分解と積の公式を用いることで効率的に計算可能。
- 数論的な問題(例えば、互いに素な数の個数)を扱う際に非常に役立つ。
- ファイ関数の性質(乗法性など)を理解すれば、より大きな数に対しても容易に扱える。
ファイ関数は一見難しそうに見えますが、仕組みが分かればとても便利な道具です。高校数学の学習においても応用範囲が広く、試験にも出やすい分野なので、ぜひマスターしておきましょう。