高校数学・二項定理の応用をマスターしよう|例題で徹底理解
目次
二項定理とは?
二項定理(binomial theorem)とは、次の形の式を展開するときに使う公式です:
\[ (a + b)^n \]この式を展開すると、以下のような形になります:
\[ (a + b)^n = \sum_{k=0}^{n} \binom{n}{k} a^{n-k} b^k \]ここで、\(\binom{n}{k}\) は「n 個から k 個を選ぶ組み合わせの数」であり、「二項係数」と呼ばれます。読み方は「エヌシーケー」です。
基本的な展開公式
まずは基本的な展開の例を見てみましょう。
例1:
\[ (x + 2)^3 \]この展開は次のようになります:
\[ = \binom{3}{0}x^3 \cdot 2^0 + \binom{3}{1}x^2 \cdot 2^1 + \binom{3}{2}x^1 \cdot 2^2 + \binom{3}{3}x^0 \cdot 2^3 = x^3 + 6x^2 + 12x + 8 \]応用例題:特定の項の係数を求める
\((a + b)^n\) を展開したとき、ある項の係数を求める問題です。
例2:
\((2x – 3)^5\) の中で \(x^3\) の係数を求めよ。
一般項は以下のように表されます:
\[ \binom{5}{k} (2x)^{5-k} (-3)^k \]\(x^3\) を含む項は、\( (2x)^{3} \) すなわち \(5-k = 3\) より \(k = 2\) のとき。
\[ \binom{5}{2} (2x)^3 (-3)^2 = 10 \cdot 8x^3 \cdot 9 = 720x^3 \]したがって、答えは 720。
応用例題:特定の項そのものを求める
何番目かの項そのものを求める問題です。
例3:
\((x + 1)^6\) の第4項を求めよ。
一般に、\((n+1)\) 項からなる式の第 \(r\) 項(先頭を第1項と数える)は:
\[ \binom{6}{r-1} x^{6-(r-1)} \cdot 1^{r-1} \]第4項は \(r = 4\) なので、
\[ \binom{6}{3} x^{3} = 20x^3 \]応用例題:最大の係数を求める
展開したときの係数の中で最も大きいものを求める問題です。
例4:
\((1 + x)^8\) を展開したとき、最大の係数を求めよ。
\(\binom{8}{k}\) の最大値を求めるには、\(k\) を変化させて調べます。一般に偶数次のときは中央の項(または中央2つ)が最大になります。
\[ \binom{8}{4} = 70 \]したがって最大の係数は 70。
応用例題:恒等式を使った問題
与えられた展開式が恒等的に一致するように、係数を比較して未知数を求めるタイプの問題です。
例5:
次の恒等式が成り立つとき、定数 \(a\) を求めよ:
\[ (x + 1)^3 + (x + 2)^3 = ax^3 + bx^2 + cx + d \]左辺を展開すると:
\[ (x + 1)^3 = x^3 + 3x^2 + 3x + 1\\ (x + 2)^3 = x^3 + 6x^2 + 12x + 8 \] \[ \Rightarrow 2x^3 + 9x^2 + 15x + 9 \]よって、\(a = 2\)。
まとめ
- 二項定理は、\((a + b)^n\) を展開するための強力な道具です。
- 一般項の公式を使えば、特定の項や係数を素早く見つけられます。
- 最大の係数や項そのものを求める応用問題にも頻出です。
- 恒等式を使って係数比較するタイプの問題もあります。
何度も練習して、二項定理の応用を得意分野にしましょう!