高校数学で差がつく!道順の応用問題を徹底解説
目次
基本的な道順の数え方
道順の問題とは、ある地点から別の地点まで、決まったルールに従って移動する経路の総数を数える問題です。最も基本的な例は、右(→)と下(↓)にしか移動できない格子状の道を使った移動です。
例えば、原点 \( (0, 0) \) から \( (3, 2) \) まで右と下のみで進むとすると、右に3回、下に2回移動する必要があります。
このときの道順の数は、次のように計算できます:
\[ \binom{3+2}{2} = \binom{5}{2} = 10 \]つまり、5回の移動の中で、下に移動する2回の場所を選べばよい、という考え方です。
組み合わせを使った解法
道順の数え方は基本的に「組み合わせ(コンビネーション)」の応用です。一般的に、\( (a, b) \) から \( (m, n) \) まで、右に \( m – a \) 回、下に \( n – b \) 回移動するならば、
\[ \binom{(m-a)+(n-b)}{n-b} \]通りの道順があります。
例:\( (1, 2) \) から \( (4, 6) \) までの道順の数は
\[ \binom{(4-1)+(6-2)}{6-2} = \binom{7}{4} = 35 \]このようにして、任意の2点間の道順を数えることができます。
通れない場所がある場合
ある地点を通ってはいけない場合(障害物など)は、全体の道順の数から、その地点を通る道順の数を引くことで対応します。
例:\( (0, 0) \) から \( (4, 4) \) までの道で、\( (2, 2) \) を通ってはいけないとき:
全体の道順数:
\[ \binom{8}{4} = 70 \]\( (2, 2) \) を通る道順数:
したがって、通らない道順数:
\[ 70 – 36 = 34 \]必ず通る点を含む道順
特定の点を必ず通る道順を数える場合は、まずその点までの道順を数え、次にその点からゴールまでの道順を数えて掛け合わせます。
例:\( (0, 0) \) から \( (6, 6) \) までの道順で、\( (2, 3) \) を必ず通る場合:
\( (0, 0) \) → \( (2, 3) \):
\[ \binom{5}{2} = 10 \]\( (2, 3) \) → \( (6, 6) \):右4回・下3回 →
\[ \binom{7}{3} = 35 \]したがって、全体で
\[ 10 \times 35 = 350 \]通りの道順があります。
立体的な空間での道順
応用的な問題として、3次元空間での道順を数えることもあります。たとえば、立方体の頂点を移動するような場合です。
例:原点 \( (0, 0, 0) \) から \( (2, 1, 3) \) に移動するとき、各軸のプラス方向にのみ移動可能とすると:
必要な移動は、x方向に2回、y方向に1回、z方向に3回。これら6回の移動の並べ方の数は:
\[ \frac{6!}{2! \cdot 1! \cdot 3!} = \frac{720}{2 \cdot 1 \cdot 6} = 60 \]このようにして空間内の道順も求められます。
まとめと練習問題
道順の問題では、「何回移動するか」「どの方向に何回動くか」をしっかり数えることが基本です。制限条件が加わることで、組み合わせや引き算、掛け算などの工夫が求められます。
練習問題:
- \( (0, 0) \) から \( (5, 3) \) までの道順の数は?
- \( (0, 0) \) から \( (6, 4) \) までの道で、\( (3, 2) \) を必ず通る道順の数は?
- \( (0, 0) \) から \( (4, 4) \) までの道で、\( (2, 2) \) を通ってはいけないときの道順の数は?
- 3次元空間で、\( (0, 0, 0) \) から \( (1, 2, 2) \) までの道順の数は?
まずは基本の組み合わせの理解を深め、応用問題では「分けて考える」「通る・通らないで引き算・掛け算する」工夫を重ねることで、着実に得点力がアップします。