直線の交点の最大数を求める方法【例題&応用で完全理解】
本記事では、「\(n\)本の直線の交点の数」について、高校数学の知識を用いて基礎から応用まで丁寧に解説します。数式的な導出から、よくある間違い、さらに入試でも役立つ応用例題まで網羅的に紹介します。
目次
1. 問題の概要と基本的な考え方
数学の問題として、「\(n\)本の直線で作られる交点の最大数はいくつか?」という問いがあります。 この問いの本質は、「直線同士がどれだけ交わるか」ということにあります。 まず前提として、以下の条件を満たすものとします:
- すべての直線は平面上にある
- どの2本の直線も平行でない(すなわち必ず交わる)
- 3本以上の直線が1点で交わることはない(3本の交点は存在しない)
このような前提のもとで、交点の最大数を求めます。
2. 最大の交点の数の導出
2本の直線は最大で1つの交点を持ちます。したがって、どの2本の直線も必ず交差する場合、交点の数は「直線の2本の組み合わせの数」と一致します。
このことから、交点の最大数は以下のように表されます:
\[ \binom{n}{2} = \frac{n(n – 1)}{2} \]例えば、\(n = 5\)のとき、
\[ \binom{5}{2} = \frac{5 \cdot 4}{2} = 10 \]つまり、5本の直線がそれぞれ互いに交差するならば、最大で10個の交点が生じるということになります。
3. 実際の例題で確認
例題1:基本問題
「7本の直線があり、どの2本も交わっていて、3本以上が1点で交わることはない。このとき交点の数は?」
解答:
\[ \binom{7}{2} = \frac{7 \cdot 6}{2} = 21 \]したがって、交点の最大数は21個。
例題2:条件付き
「8本の直線のうち、2本は平行である。他の6本は互いにすべて交差し、3本以上が1点で交わることはない。このとき、交点の数は?」
解答:
- まず、6本の直線による交点:\(\binom{6}{2} = 15\)
- 平行でない2本は互いに交差しないため交点なし
- この2本を他の6本と交差させる:それぞれ6本と交差するので、交点数は \(2 \times 6 = 12\)
合計:\(15 + 12 = 27\)個
4. よくあるミスと注意点
- すべての直線が交差するとは限らない問題では、単純に \(\binom{n}{2}\) を使わない
- 3本以上が同時に1点で交わる場合、その交点は1個として数える
- 交点の「最大数」と「実際の数」は区別する必要がある
例:3本が1点で交わる場合
3本の直線が1点で交わるとき、そこにできる交点は1個。ですが、もし3本がそれぞれ異なる位置で交われば、 \(\binom{3}{2} = 3\)個の交点が生まれます。
したがって、「最大数」というのは「どの2本も交差し、かつ交点はすべて別々の点にある」ことが条件です。
5. 応用問題とその考え方
応用例題1:平行な直線が含まれる場合
「10本の直線のうち、3本は互いに平行で、他の7本はすべて交差する。このときの交点の最大数は?」
解答:
- 平行な3本の間には交点はない
- 7本の交差:\(\binom{7}{2} = 21\)
- 平行でない7本と平行な3本との交差:\(3 \times 7 = 21\)
合計:\(21 + 21 = 42\)個
応用例題2:交点が既に1点に集中している場合
「6本の直線がすべて1点で交わっている。このときの交点の数は?」
答えは「1個」です。なぜなら、すべての直線が同じ点で交差しているからです。
このように、最大数は条件によって大きく変わるため、問題文の前提を読み取る力が重要です。
6. まとめ
- \(n\)本の直線がすべて互いに交差し、どの3本も1点で交わらないなら、交点の最大数は \(\binom{n}{2}\)
- 問題文の条件(平行や同一点交差など)により、実際の交点数は減る
- 例題で感覚をつかみ、応用問題で差がつく
このテーマは図形問題やグラフ理論の導入にもつながる重要な題材です。しっかり理解しておきましょう。