高校生のための需要の所得弾力性:基本から応用例題まで完全ガイド
目次
需要の所得弾力性とは?
需要の所得弾力性とは、「消費者の所得が変化したときに、ある財の需要がどれだけ変化するか」を示す指標です。
たとえば、あなたの月のお小遣いが1万円から1万1000円に増えたとき、お菓子を買う量がどれくらい増えるか、または減るかを表すものです。
基本的な考え方と数式
需要の所得弾力性(英語では “income elasticity of demand”)は、以下の数式で表されます:
\[ E_I = \frac{\%\ \text{需要量の変化率}}{\%\ \text{所得の変化率}} = \frac{\frac{\Delta Q}{Q}}{\frac{\Delta I}{I}} = \frac{\Delta Q}{\Delta I} \cdot \frac{I}{Q} \]ここで、
- \(E_I\):所得弾力性
- \(\Delta Q\):需要量の変化
- \(Q\):もとの需要量
- \(\Delta I\):所得の変化
- \(I\):もとの所得
この数値が大きいほど、所得の変化に対して需要が敏感に反応するということです。
弾力性の種類とその意味
所得弾力性の値に応じて、財の種類を以下のように分類できます。
- 正常財(E_I > 0):所得が増えると需要も増える財(例:洋服、スマートフォン)
- 必需財(0 < E_I < 1):所得が増えても需要の増加はゆるやか(例:米、トイレットペーパー)
- 奢侈財(E_I > 1):所得が増えると急激に需要が増える(例:高級車、海外旅行)
- 劣等財(E_I < 0):所得が増えると逆に需要が減る(例:即席麺、安いお菓子)
例題で理解しよう
例題1:
ある学生が月に5個パンを買っていたが、お小遣いが月1万円から1万2000円に増えたことで、パンを月7個買うようになった。所得弾力性を求めなさい。
解答:
- \(Q = 5\)、\(\Delta Q = 7 – 5 = 2\)
- \(I = 10,000\)、\(\Delta I = 12,000 – 10,000 = 2,000\)
この財の所得弾力性は2であり、奢侈財であると考えられます。
例題2:
ある家庭では、所得が20万円から22万円に増えたとき、牛乳の購入量が月に20本から21本に変化した。所得弾力性はいくらか。
解答:
- \(Q = 20\)、\(\Delta Q = 1\)
- \(I = 200,000\)、\(\Delta I = 20,000\)
所得弾力性が0.5なので、牛乳は必需財といえます。
応用問題にチャレンジ
応用問題:
所得の変化により需要が大きく変化する財と、ほとんど変化しない財を見極めることは、企業にとって重要です。例えば、新しい高級スイーツを売り出す場合、その所得弾力性が1を大きく超えているかが成功のカギになります。
問題:
ある都市で、平均所得が30万円から33万円に増加した。あるブランドバッグの月間販売数が100個から130個に増えた。この商品の所得弾力性を求め、この商品の分類を答えよ。
解答:
- \(Q = 100\)、\(\Delta Q = 30\)
- \(I = 300,000\)、\(\Delta I = 30,000\)
所得弾力性が3であるため、この商品は明らかに奢侈財です。企業はこのような財を富裕層をターゲットに売り出す戦略が有効です。
まとめ
- 需要の所得弾力性は、所得の変化に対する需要の感度を表します。
- 弾力性の値によって、財の性質(正常財・奢侈財・劣等財など)がわかります。
- 基本式は \[ E_I = \frac{\Delta Q}{\Delta I} \cdot \frac{I}{Q} \]
- 実生活の中でも、価格と同じくらい「所得の影響」を考えることは重要です。