【高校数学】分数不等式を完全攻略!例題と応用で徹底マスター
分数不等式は、高校数学の中でも特にミスが起こりやすい単元の一つです。分母に文字が含まれるため、定義域や符号の扱いを正確に理解しておくことが重要です。本記事では、基礎から応用まで、豊富な例題を用いて分数不等式の解法を丁寧に解説します。
目次
分数不等式とは?
分数不等式とは、文字が分母に含まれる不等式のことです。以下のような形が典型です:
\[ \frac{1}{x-2} > 3 \]このような不等式を解くには、単純に両辺に分母をかけるだけでは不十分です。なぜなら、分母の符号によって不等号の向きが変わるためです。まずは、分母が0にならないようにすること、次に符号に注意して不等式を解く必要があります。
解法の手順
分数不等式を解く際の一般的な手順は以下の通りです:
- 定義域の確認: 分母が0になる値を除外する。
- 不等式を整理: 両辺を通分、または0の形にまとめる。
- 場合分け: 分母や分子の符号に応じて場合分けして解く。
- 不等式の解を求める: 各場合で不等式を解く。
- 定義域と照らし合わせて解を絞る。
基本例題と解説
例題1:
\[ \frac{1}{x-2} > 3 \]
ステップ1:定義域
分母が0になる \( x = 2 \) は定義されないので、除外します。
ステップ2:不等式を移項
\[
\frac{1}{x-2} – 3 > 0
\]
ステップ3:通分して整理
\[
\frac{1 – 3(x-2)}{x-2} > 0
\]
分子を展開すると:
\[ \frac{1 – 3x + 6}{x – 2} = \frac{-3x + 7}{x – 2} \]ステップ4:符号の変化を調べる
分子 \(-3x + 7\) は \( x = \frac{7}{3} \) で0になります。分母 \( x – 2 \) は \( x = 2 \) で0になります。
数直線で区間を分けて符号を調べます:
- \( x < 2 \):分母負、分子正 ⇒ 全体は負
- \( 2 < x < \frac{7}{3} \):分母正、分子正 ⇒ 全体は正
- \( x > \frac{7}{3} \):分母正、分子負 ⇒ 全体は負
ステップ5:正になる範囲を抽出
\[
2 < x < \frac{7}{3}
\]
ただし、\( x = 2 \) は定義されないので、含みません。
応用例題と解説
例題2:
\[ \frac{x+1}{x-3} \leq 2 \]
ステップ1:定義域
\( x = 3 \) は除外。
ステップ2:不等式を整理
\[
\frac{x+1 – 2(x – 3)}{x – 3} \leq 0
\]
分子を整理:
\[ x + 1 – 2x + 6 = -x + 7 \]よって不等式は:
\[ \frac{-x + 7}{x – 3} \leq 0 \]分子は \( x = 7 \) で0、分母は \( x = 3 \) で0。
符号を調べると:
- \( x < 3 \):分子正、分母負 ⇒ 全体は負
- \( 3 < x < 7 \):分子正、分母正 ⇒ 全体は正
- \( x > 7 \):分子負、分母正 ⇒ 全体は負
不等式「以下(0を含む)」なので、等号成立も含みます。
正または0になる範囲:
\[ x \leq 3 \quad または \quad x \geq 7 \]ただし、\( x = 3 \) は定義域外なので除く:
\[ x < 3 \quad または \quad x \geq 7 \]よくあるミスと注意点
- 分母を0にしてしまう: 定義域の確認を忘れずに。
- 分母の符号を無視して不等号をそのまま扱う: 符号が変わると不等号の向きも変わります。
- 場合分けをせずに単純に計算: 間違った範囲を求めてしまうことが多いです。
まとめ
分数不等式は、定義域や符号の扱いを正確に行う必要があるため、注意深く取り組む必要があります。本記事で扱ったように、手順に沿って丁寧に進めれば、難しい問題も確実に解けるようになります。応用問題にも挑戦し、理解を深めてください。