【高校数学】シュワルツの不等式の使い方・応用例を徹底解説!
この記事では、高校数学で学ぶシュワルツの不等式について、基本から応用までを丁寧に解説します。入試でも頻出のテーマなので、ぜひ理解を深めていきましょう。
目次
シュワルツの不等式とは?
シュワルツの不等式(コーシー=シュワルツの不等式とも呼ばれる)は、ベクトルや数列に関する内積とその大きさに関する不等式です。次の形で表されます。
2つのベクトル \( \vec{a} = (a_1, a_2, \ldots, a_n) \)、\( \vec{b} = (b_1, b_2, \ldots, b_n) \) に対して、
\[ \left( \sum_{i=1}^n a_i b_i \right)^2 \leq \left( \sum_{i=1}^n a_i^2 \right) \left( \sum_{i=1}^n b_i^2 \right) \]
また、等号成立条件は「2つのベクトルが比例関係にあるとき」、すなわち \( \vec{a} = k \vec{b} \)(ただし \(k\) は定数)であるときです。
シュワルツの不等式の証明(高校レベル)
ここでは、2次関数の性質を使った高校生向けの証明を紹介します。
任意の実数 \( t \) に対して、次の式を考えます:
\[ f(t) = \sum_{i=1}^n (a_i – t b_i)^2 \geq 0 \]
なぜなら、2乗の和は常に0以上だからです。この式を展開すると:
\[ f(t) = \sum a_i^2 – 2t \sum a_i b_i + t^2 \sum b_i^2 \]
これは \( f(t) = At^2 – 2Bt + C \) の形の2次関数で、判別式が0以下でなければなりません。
\[ \text{判別式} \leq 0 \Rightarrow (-2B)^2 – 4AC \leq 0 \Rightarrow B^2 \leq AC \]
すなわち、
\[ \left( \sum a_i b_i \right)^2 \leq \left( \sum a_i^2 \right)\left( \sum b_i^2 \right) \]
これがシュワルツの不等式です。
基本例題とその解説
例題1:2次元ベクトルでの確認
\[ \vec{a} = (1, 2), \quad \vec{b} = (3, 4) \]
このとき、左辺:
\[ (1 \cdot 3 + 2 \cdot 4)^2 = (3 + 8)^2 = 121 \]
右辺:
\[ (1^2 + 2^2)(3^2 + 4^2) = (1 + 4)(9 + 16) = 5 \cdot 25 = 125 \]
よって、 \[ 121 \leq 125 \] となり、シュワルツの不等式が成り立っていることがわかります。
例題2:等号成立の確認
\[ \vec{a} = (2, 4), \quad \vec{b} = (1, 2) \]
このとき \(\vec{a} = 2 \vec{b}\) より比例関係があり、等号が成立することが確認できます。
応用例:入試問題レベルでの使い方
例題3:最小値・最大値の評価
問題:実数 \(x, y\) が次の条件を満たすとき、\(3x + 4y\) の最大値を求めよ。
\[ x^2 + y^2 \leq 25 \]
解説:
\[ (3x + 4y)^2 \leq (3^2 + 4^2)(x^2 + y^2) = 25 \cdot 25 = 625 \]
よって、
\[ 3x + 4y \leq \sqrt{625} = 25 \]
最大値は25。
例題4:加重平均との関係
シュワルツの不等式は、加重平均の不等式(相加相乗平均など)の導出にも使われます。
例えば、
\[ \left( \frac{a}{\sqrt{a}} + \frac{b}{\sqrt{b}} \right)^2 \leq (a + b)\left( \frac{1}{a} + \frac{1}{b} \right) \]
といった式の導出に使えます。
シュワルツの不等式を使う際のポイント
- 2つのベクトルの形に整理することで使えることが多い。
- 内積とノルム(長さ)の関係を意識する。
- 等号成立条件(比例関係)を常に確認する。
- 「2乗して評価」がヒントとなることが多い。
特に、最小・最大を求める問題や、他の不等式と組み合わせる問題で有効です。
以上、シュワルツの不等式の基本から応用までを詳しく解説しました。数学の実力アップには不等式の理解が不可欠です。ぜひ何度も読み返して使いこなせるようにしましょう!