三次方程式の判別式は、解の個数や性質を調べるうえで非常に重要です。本記事では、高校数学の知識をベースに、三次方程式の判別式の意味や公式、基礎的な使い方から、応用的な例題までを丁寧に解説します。

目次

三次方程式の判別式とは?

三次方程式とは、次のような形の方程式です。

\[ ax^3 + bx^2 + cx + d = 0 \quad (a \neq 0) \]

判別式とは、この方程式が実数解をいくつ持つのか、重解があるかどうかなどを判定するための指標です。判別式が正・負・ゼロになるかによって、解の構造が異なります。

判別式の公式

三次方程式の判別式 \( D \) は、係数 \( a, b, c, d \) を用いて次のように表されます:

\[ D = -4a^3d + a^2b^2c – 4a^2c^3 – 27a^2d^2 + 18abcd – b^2c^2 + 4b^3d \]

実際には簡略化された以下の形で使われることも多いです(正確な展開は長いため省略):

\[ D = 18abcd – 4b^3d + b^2c^2 – 4ac^3 – 27a^2d^2 \]

判別式の使い方と意味

判別式 \( D \) の符号によって、三次方程式の実数解の個数が以下のように決まります。

  • \( D > 0 \):異なる3つの実数解を持つ
  • \( D = 0 \):重解を持つ(重解を含む実数解が2個以上)
  • \( D < 0 \):1つの実数解と2つの複素数解を持つ

このように、判別式を使えば因数分解しなくても、方程式の解の性質を知ることができます。

基本例題

例題1: 次の方程式の判別式を求めて、解の個数と種類を判定せよ。

\[ x^3 – 6x^2 + 11x – 6 = 0 \]

この式は \( a = 1, b = -6, c = 11, d = -6 \) です。判別式を計算してみましょう。

\[ D = 18abcd – 4b^3d + b^2c^2 – 4ac^3 – 27a^2d^2 \]

各項を代入して計算すると:

  • \( abcd = (1)(-6)(11)(-6) = 396 \)、\( 18abcd = 7128 \)
  • \( b^3d = (-6)^3 \cdot (-6) = -1296 \)、\( -4b^3d = 5184 \)
  • \( b^2c^2 = 36 \cdot 121 = 4356 \)
  • \( ac^3 = 1 \cdot 1331 = 1331 \)、\( -4ac^3 = -5324 \)
  • \( a^2d^2 = 1 \cdot 36 = 36 \)、\( -27a^2d^2 = -972 \)

よって、 \[ D = 7128 + 5184 + 4356 – 5324 – 972 = 14372 \]

よって、\( D > 0 \) より、異なる3つの実数解を持つことがわかります。

応用例題

例題2: 次の三次方程式の解の構造を判別式を用いて説明せよ。

\[ 2x^3 + 3x^2 – 2x – 3 = 0 \]

\( a = 2, b = 3, c = -2, d = -3 \) を代入して判別式を計算します。

  • \( abcd = 2 \cdot 3 \cdot (-2) \cdot (-3) = 36 \)、\( 18abcd = 648 \)
  • \( b^3d = 27 \cdot (-3) = -81 \)、\( -4b^3d = 324 \)
  • \( b^2c^2 = 9 \cdot 4 = 36 \)
  • \( ac^3 = 2 \cdot (-8) = -16 \)、\( -4ac^3 = 64 \)
  • \( a^2d^2 = 4 \cdot 9 = 36 \)、\( -27a^2d^2 = -972 \)

合計すると: \[ D = 648 + 324 + 36 + 64 – 972 = 100 \]

よって、\( D > 0 \) より、3つの異なる実数解を持つとわかります。

例題3: 次の方程式が1つの実数解と2つの共役な複素数解を持つことを判別式から示せ。

\[ x^3 + x + 1 = 0 \]

\( a = 1, b = 0, c = 1, d = 1 \)

  • \( abcd = 1 \cdot 0 \cdot 1 \cdot 1 = 0 \)、\( 18abcd = 0 \)
  • \( b^3d = 0 \)、\( -4b^3d = 0 \)
  • \( b^2c^2 = 0 \)
  • \( ac^3 = 1 \)、\( -4ac^3 = -4 \)
  • \( a^2d^2 = 1 \)、\( -27a^2d^2 = -27 \)

\[ D = 0 + 0 + 0 – 4 – 27 = -31 \]

よって、\( D < 0 \) より、1つの実数解と2つの複素数解を持つことが分かります。

まとめ

  • 三次方程式の判別式は、解の個数と性質を判定するための有力なツール
  • 公式は複雑だが、パターンを覚えておくと便利
  • 応用問題では、解の構造を判別式だけで見抜く力が問われる

判別式の意味を理解し、実際の計算に慣れていくことで、入試でも有利に戦えるようになります。

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