【完全理解】剰余の定理とは?高校数学の例題付きでわかりやすく解説
剰余の定理は、高校数学の中でも特に「数学II」で登場する重要な定理です。多項式の割り算に関する理解を深めるための基礎知識として、大学入試にもよく出題されます。
目次
剰余の定理とは?
剰余の定理は、次のように表されます:
【剰余の定理】
多項式 \( f(x) \) を \( x – a \) で割ったときの余りは、\( f(a) \) に等しい。
これは、多項式を直接割り算しなくても、単に代入すれば余りが分かるという強力な定理です。
例えば、
- 多項式 \( f(x) = x^2 + 3x + 2 \) を \( x – 1 \) で割ったときの余りは、\( f(1) = 1^2 + 3 \cdot 1 + 2 = 6 \) です。
剰余の定理の使い方
使い方はとてもシンプルです。以下のステップに従えばOKです。
- 割る式が \( x – a \) の形であることを確認する。
- 割られる多項式 \( f(x) \) に対して、\( x = a \) を代入する。
- その値が余りになる。
実際の入試や模試でも、この性質を使ってすばやく余りを求めることができます。
例題①:多項式の余りを求める
例題:
多項式 \( f(x) = 2x^3 – 5x^2 + 3x – 4 \) を \( x – 2 \) で割ったときの余りを求めよ。
解答:
まず、\( x = 2 \) を代入します:
\[ f(2) = 2(2)^3 – 5(2)^2 + 3(2) – 4 = 2 \cdot 8 – 5 \cdot 4 + 6 – 4 = 16 – 20 + 6 – 4 = -2 \]
したがって、余りは \(-2\) です。
例題②:係数を求める応用問題
例題:
多項式 \( f(x) = ax^2 + bx + 3 \) を \( x – 1 \) で割ったときの余りが \( 5 \)、
\( x + 1 \) で割ったときの余りが \( -1 \) である。
このときの \( a \) と \( b \) の値を求めよ。
解答:
まず、\( f(1) = a(1)^2 + b(1) + 3 = a + b + 3 \) であり、これが \( 5 \) に等しい。
\[ a + b + 3 = 5 \quad \Rightarrow \quad a + b = 2 \tag{1} \]
次に、\( f(-1) = a(-1)^2 + b(-1) + 3 = a – b + 3 \) であり、これが \( -1 \) に等しい。
\[ a – b + 3 = -1 \quad \Rightarrow \quad a – b = -4 \tag{2} \]
(1) と (2) を連立すると:
- (1) + (2): \( 2a = -2 \Rightarrow a = -1 \)
- 代入して \( b = 3 \)
したがって、\( a = -1, \ b = 3 \) です。
まとめ
- 剰余の定理では、\( f(x) \) を \( x – a \) で割ったときの余りは \( f(a) \) になる。
- 直接割り算をしなくても、代入するだけで余りがわかる。
- 入試では「余り」だけでなく「係数」を求める応用問題にも使われる。
剰余の定理はシンプルですが非常に強力なツールです。繰り返し練習して、確実に使いこなせるようにしましょう。