分母の有理化と実数の基本を徹底解説|高校数学の重要ポイントと例題
高校数学において「分母の有理化」は計算問題や記述式問題で頻出の重要項目です。本記事では、実数の定義から分母の有理化の目的、さまざまなパターンとやり方、豊富な例題を通してわかりやすく解説します。
目次
実数とは何か
まず「実数」について簡単に復習しましょう。
- 実数とは、数直線上に表すことができるすべての数のこと。
- 整数、小数、分数、無理数(例:\\(\sqrt{2}\\)や\\(\pi\\)など)すべてが含まれます。
具体例:
- 整数:\\(-3, 0, 5\\)
- 有限小数:\\(0.25\\)
- 無限小数(循環):\\(0.333\ldots\\)
- 無理数:\\(\sqrt{2}, \pi\\)など(小数で表すと無限非循環)
つまり、実数は「有理数」と「無理数」をあわせたものです。
分母の有理化とは?なぜ必要?
分母の有理化とは、分数の分母にルート(√)がある場合、それを含まない形に変形する操作です。
なぜ有理化するのか?
- 分母に無理数(√など)があると、計算や比較がしづらいため。
- 答案として「整理された形」にするため。
- 他の式と加減する際、共通分母を作りやすくするため。
有理化の基本パターンとやり方
パターン1:分母が \\(\sqrt{a}\\) の形
例:\\(\frac{1}{\sqrt{2}}\\)
分母に\\(\sqrt{2}\\)があるので、\\(\sqrt{2}\\)を掛けて有理化します:
\\[ \frac{1}{\sqrt{2}} \times \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2} \\]
パターン2:分母が \\(a\sqrt{b}\\) の形
例:\\(\frac{3}{2\sqrt{5}}\\)
\\[ \frac{3}{2\sqrt{5}} \times \frac{\sqrt{5}}{\sqrt{5}} = \frac{3\sqrt{5}}{2 \cdot 5} = \frac{3\sqrt{5}}{10} \\]
ポイント
- 分母にある無理数と「同じもの」を分子・分母にかける
- これは「1をかけている」ので、値は変わらない
応用パターンとコツ
パターン3:分母が \\(a + \sqrt{b}\\) の形(共役を使う)
例:\\(\frac{1}{3 + \sqrt{2}}\\)
この場合は「共役な数」\\(3 – \sqrt{2}\\)をかけます:
\\[ \frac{1}{3 + \sqrt{2}} \times \frac{3 – \sqrt{2}}{3 – \sqrt{2}} = \frac{3 – \sqrt{2}}{(3 + \sqrt{2})(3 – \sqrt{2})} \\]
分母は公式より:
\\[ (3 + \sqrt{2})(3 – \sqrt{2}) = 3^2 – (\sqrt{2})^2 = 9 – 2 = 7 \\]
したがって:
\\[ \frac{3 – \sqrt{2}}{7} \\]
パターン4:分母が \\(a – \sqrt{b}\\) の場合も同様
共役は \\(a + \sqrt{b}\\) をかけます。
応用テクニック
- 共役をかける際、公式 \\((a + b)(a – b) = a^2 – b^2\\) を使う
- 分母が2項なら「符号を変えた形」をかける
例題で理解を深めよう
例題1:
\\[ \frac{2}{\sqrt{3}} \Rightarrow \frac{2\sqrt{3}}{3} \\]
例題2:
\\[ \frac{4}{\sqrt{2} + 1} \Rightarrow \frac{4(\sqrt{2} – 1)}{(\sqrt{2} + 1)(\sqrt{2} – 1)} = \frac{4(\sqrt{2} – 1)}{2 – 1} = 4(\sqrt{2} – 1) \\]
例題3:
\\[ \frac{5}{2 – \sqrt{3}} \Rightarrow \frac{5(2 + \sqrt{3})}{(2 – \sqrt{3})(2 + \sqrt{3})} = \frac{5(2 + \sqrt{3})}{4 – 3} = 5(2 + \sqrt{3}) \\]
例題4:
\\[ \frac{\sqrt{5}}{2 + \sqrt{5}} \Rightarrow \frac{\sqrt{5}(2 – \sqrt{5})}{(2 + \sqrt{5})(2 – \sqrt{5})} = \frac{\sqrt{5}(2 – \sqrt{5})}{4 – 5} = \frac{\sqrt{5}(2 – \sqrt{5})}{-1} = -\sqrt{5}(2 – \sqrt{5}) \\]
まとめ
- 分母の有理化は、「見やすい形」「計算しやすい形」に変える重要な操作
- パターンごとにやり方をしっかり覚える
- 共役を使う場合は公式を活用して展開する
- 定期テストだけでなく、大学入試でも頻出
計算に慣れるには、例題を繰り返し練習するのが一番です。ぜひ自分で似た問題を作って解いてみましょう。