【高校生でもわかる】残差需要関数とは?経済学の重要ポイントを徹底解説!
目次
残差需要関数とは?
「残差需要関数(residual demand function)」は、経済学、特にミクロ経済学で用いられる概念です。これは、ある企業が市場で販売できる数量を示す需要関数の一種で、「他の企業がすでに供給した分を除いた後、自分の企業に残された需要」のことを表します。
簡単に言えば、市場にある全体の需要から他の企業の供給を引いたものが、その企業の「残された需要=残差需要」となるのです。
なぜ残差需要関数が重要なのか?
市場には複数の企業が存在する場合が多く、それぞれが価格や生産量を決定します。このとき、1社が自由に価格を決めたり生産量を決めたりするには、他社の行動がどれだけ市場に影響しているかを知る必要があります。
残差需要関数を使えば、競合企業の行動を考慮した上で、自社がどれだけ需要を満たせるのかが明確になります。特に複占(企業が2社)や寡占(企業が少数)市場、ゲーム理論に基づくナッシュ均衡の分析でも非常に重要です。
残差需要関数の数式と導出
市場全体の需要関数が次のように与えられているとします。
\[ Q_D(P) = a – bP \]
ここで、\( Q_D \) は市場の需要、\( P \) は価格、\( a \) や \( b \) は正の定数です。
次に、競合他社が価格 \( P \) で供給する数量を \( Q_r(P) \) としたとき、ある企業の残差需要関数 \( Q_{res}(P) \) は以下のように定義されます。
\[ Q_{res}(P) = Q_D(P) – Q_r(P) \]
つまり、「市場全体の需要」から「他社の供給量」を引いたものが、自社の残差需要です。
この関数を使えば、競合他社の行動が分かれば、自社の最適な価格や生産量を決める判断材料が得られます。
実際の例で考えてみよう
例えば、ある市場の需要関数が次のように与えられているとします。
\[ Q_D(P) = 100 – 2P \]
そして、競合企業が価格 \( P \) において供給する量が
\[ Q_r(P) = 40 – P \]
だとすると、残差需要関数は次のようになります。
\[ Q_{res}(P) = (100 – 2P) – (40 – P) = 60 – P \]
この結果は何を意味するでしょうか?
価格 \( P \) が上がれば上がるほど自社に残る需要は減っていきますが、競合企業の供給によってその影響はさらに加速される、ということです。
このように、残差需要関数を使えば、他社の行動が自社の市場での立ち位置にどう影響を与えるかが分かり、価格戦略を立てるための重要な手がかりとなります。
まとめと学習のポイント
- 残差需要関数とは「市場全体の需要 − 他社の供給」で定義される。
- 独占や複占、寡占市場の分析に不可欠なツール。
- 企業はこの関数を使って、戦略的に価格や生産量を決める。
- ゲーム理論やナッシュ均衡の考え方にもつながる。
- 実際の市場では、需要関数や他社の供給関数を推定する必要がある。
高校生でも、基本的な関数の理解があればこの考え方は十分に理解可能です。今後、経済学をさらに深く学んでいく上で、残差需要関数は必ず出てくる重要なテーマなので、ぜひこの機会にしっかりと覚えておきましょう。