高校生にもわかるリスク回避的効用関数の徹底解説|経済学の基本を学ぼう

高校生にもわかるリスク回避的効用関数の徹底解説|経済学の基本を学ぼう

高校生にもわかるリスク回避的効用関数の徹底解説|経済学入門

高校生にもわかるリスク回避的効用関数の徹底解説|経済学入門

リスク回避的効用関数とは?

リスク回避的効用関数とは、経済学で「人が不確実な状況(リスク)にどう対応するか」を表す数学的な道具の一つです。簡単に言うと、「同じ期待値(平均的な利益)がある選択肢でも、リスクがある場合にはあまり好きではない」という人の気持ちをモデル化しています。

「効用関数」とは、人がどれだけ満足するかを数字で表したものです。お金や財産の量だけでなく、そのお金や財産から得られる満足感を考えます。リスク回避的効用関数は、特にリスクや不確実性のある状況での満足感を示します。

たとえば、宝くじを買うかどうか考えた時に、当たるかどうかは分からないけど「期待値」はプラスかもしれません。それでも、ほとんどの人はリスクを嫌い、宝くじを買わないことが多いですよね。これを効用の観点から説明できるのが「リスク回避的効用関数」です。

効用関数の基本とリスクの意味

効用関数は、通常、U(x)のように書きます。ここで、xはお金や財産の量、U(x)はそのときの満足度(効用)を表します。効用関数がどのような形をしているかによって、人のリスクに対する態度がわかります。

「リスク」とは、結果が不確実であることを意味します。例えば、次のような状況を考えましょう。

  • 選択肢A:確実に100万円もらえる
  • 選択肢B:50%の確率で200万円もらえるが、50%の確率で0円になる

選択肢Bの期待値は 0.5 × 200 + 0.5 × 0 = 100万円 なので、期待値は同じです。しかし、多くの人は選択肢Aを選びます。これは、リスク(結果が変わる不確実性)を嫌っているからです。

リスク回避性の具体例

リスク回避性は効用関数の形で表現されます。例えば、効用関数が次のような形のとき:

\( U(x) = \sqrt{x} \quad (x > 0) \\ \)

この関数は「凹型」と言われ、リスクを嫌う性質を持っています。凹型の関数では、複数の結果の期待効用(平均した満足度)が、結果の期待値の効用より小さくなります。

具体的に計算してみましょう。

先ほどの例で、選択肢Bの期待効用は

\[ \text{期待効用} = 0.5 \times U(200) + 0.5 \times U(0) = 0.5 \times \sqrt{200} + 0.5 \times \sqrt{0} = 0.5 \times 14.14 + 0 = 7.07 \]

一方、選択肢Aの効用は

\[ U(100) = \sqrt{100} = 10 \]

期待効用の方が小さいので、人は期待値が同じでも、リスクのある選択肢Bよりリスクのない選択肢Aを好むことがわかります。

期待効用理論とリスク回避的効用関数の関係

期待効用理論は経済学の基本理論の一つで、1950年代にジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュテルンによって提唱されました。この理論は、「リスクがある選択肢でも、その期待効用が高ければ人は選ぶ」という考え方です。

期待効用理論では、ある選択肢の満足度は以下のように計算されます。

\[ EU = \sum_i p_i U(x_i) \]

ここで、\( p_i \)はそれぞれの結果\( x_i \)が起こる確率、\( U(x_i) \)は結果\( x_i \)の効用です。

リスク回避的効用関数は、\( U(x) \)が凹型の関数であることを意味します。凹型の効用関数では、結果のばらつきを嫌うため、リスク回避的な行動をとると説明されます。

リスク回避的効用関数の代表的な形

リスク回避的効用関数にはいくつか代表的な形があります。主に使われるのは以下の3種類です。

  1. 対数効用関数:\( U(x) = \ln(x) \quad (x > 0) \)
  2. 平方根効用関数:\( U(x) = \sqrt{x} \quad (x > 0) \)
  3. CRRA(相対リスク回避)効用関数: \[ U(x) = \frac{x^{1-\gamma}}{1-\gamma}, \quad \gamma > 0, \gamma \neq 1 \] ここで、\( \gamma \)はリスク回避度合いを示すパラメータです。

これらはすべて凹型の関数で、リスク回避的な行動を数理的に説明します。例えば、CRRA効用関数では、\( \gamma \)が大きいほどリスク回避の度合いが強くなります。

なぜリスク回避が大事なのか?社会での応用例

リスク回避は経済だけでなく、日常生活や社会全体でも非常に重要な概念です。以下はその応用例です。

  • 金融投資:多くの人はリスクを考えて、分散投資をしたり、リスクが高い商品よりも低い商品を選びます。
  • 保険:事故や病気など予測できないリスクに備えるために保険に入ります。リスク回避的な効用関数が保険需要の基礎となっています。
  • 企業の意思決定:企業もリスクを嫌う傾向があり、新規事業への投資や借入の判断にリスク回避的効用関数が使われます。
  • 政策立案:政府は経済の不確実性に備えた政策を立て、社会全体のリスクを減らそうとします。

このように、リスク回避的効用関数は、人や組織が不確実な状況でどう行動するかを理解し、経済や社会のさまざまな場面で役立っています。

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