【高校生にもわかる】限界代替率逓減の法則を徹底解説!
目次
限界代替率ってなに?
限界代替率(げんかいだいたいりつ)とは、ある財を少し減らしたときに、それを補うために必要な別の財の量のことです。簡単に言えば、「あるものを少し減らしてもいいけど、代わりにどれだけ別のものが欲しいか」を表しています。
例えば、「おにぎり」と「パン」があるとします。今、おにぎりを1個減らしてもいいから、パンを○個もらいたい――この「○個」が限界代替率になります。
限界代替率逓減の法則とは?
限界代替率逓減の法則(ていげんのほうそく)とは、「ある財をどんどん多く手に入れるほど、その財を他の財に交換する意欲が弱くなる」ことを指します。
たとえば、最初はパンを1個もらえるならおにぎりを1個あげてもいいと思っていた人が、パンをどんどん手に入れていくと、「もうそんなにパンいらないな…」と思うようになります。このとき、おにぎり1個と交換してもいいパンの数(=限界代替率)は減っていきます。
図と数式で理解しよう
経済学では、無差別曲線というグラフを使ってこの関係を表します。無差別曲線とは、ある人が「同じ満足度を感じる組み合わせ」を線で結んだものです。
限界代替率は、無差別曲線上の接線の傾きとして表されます。数式では次のように書けます:
$$ MRS_{XY} = -\frac{dY}{dX} $$
ここで、\( MRS_{XY} \) は「X財を1単位増やすときに、Y財を何単位減らしてもよいか」という意味です。この傾き(限界代替率)は、曲線の右下に進むほど小さくなります。つまり、X財が増えるほど、Y財との交換に対して慎重になる、ということです。
具体例でイメージしよう
例1:おにぎりとパン
- おにぎり2個・パン2個 → 満足!
- おにぎり1個・パン3個 → まあまあ満足
- おにぎり0個・パン4個 → パンばっかりでちょっと飽きる
このように、パンの量が増えていくほど、パンのありがたみが減っていきます。だから「おにぎり1個を失ってもいいからパンが欲しい」と思う気持ちは、だんだん弱くなります。
例2:ゲームと勉強時間
- ゲーム1時間・勉強3時間 → バランスよし
- ゲーム2時間・勉強2時間 → まだOK
- ゲーム3時間・勉強1時間 → さすがに勉強時間足りない
ゲーム時間が増えるほど、勉強時間の価値が高く感じられるようになります。このとき、ゲームをさらに1時間増やすために削れる勉強時間は少なくなっていきます。これも限界代替率逓減の例です。
なぜこの法則が重要なの?
限界代替率逓減の法則は、現実の人間の選択行動を理解するうえでとても重要です。私たちは常に選択をしていて、限られた資源(時間、お金など)をどう分配するかを考えています。このとき、「一方が増えるほど、もう一方の価値が高まる」という考え方が、合理的な選択を導くのです。
この法則を前提に、経済学では「消費者の最適選択」や「需要曲線の導出」などの理論が構築されています。
よくある疑問とその答え
- Q1: 限界代替率が一定の場合はある?
- はい。たとえば、完全代替財(例:100円玉と10円玉×10枚)のような関係では限界代替率は一定になります。これは特殊なケースで、通常は逓減します。
- Q2: 限界代替率が増加することはある?
- 理論的にはありえますが、通常の消費行動では考えにくいです。むしろ異常な選好(ある財を持てば持つほどもっと欲しくなるなど)を意味します。
- Q3: 数学的にはどう解釈するの?
- 数学的には、限界代替率逓減の法則は、無差別曲線が凸であることを意味します。すなわち、第2次微分が正であるということです。