【高校生でもわかる】限界変形率と限界代替率の違いを徹底解説!
目次
限界代替率(MRS)とは?
限界代替率(Marginal Rate of Substitution, MRS)は、消費者がある財を他の財でどれだけ代替できるかを表す指標です。 消費者が効用(満足度)を一定に保ちながら、ある財を1単位減らしたときに、他の財をどれだけ増やす必要があるかを示します。
例えば、「りんご」と「バナナ」の2つの財を考えたとき、りんごを1個減らしてもバナナを2本増やせば満足度が変わらないとすれば、りんごに対するバナナの限界代替率は2になります。
数式で表すと、限界代替率 \(MRS_{xy}\) は以下のように表されます:
\[ MRS_{xy} = -\frac{MU_x}{MU_y} \]
ここで:
- \(MU_x\):財x(例:りんご)の限界効用
- \(MU_y\):財y(例:バナナ)の限界効用
限界代替率は無差別曲線の傾きに対応しており、右下がりになります。
限界変形率(MRT)とは?
限界変形率(Marginal Rate of Transformation, MRT)は、生産者がある財を別の財に変えるとき、どれだけ変換できるかを表します。 限られた資源を使って、生産をどのように切り替えるかを示すものです。
たとえば、工場が「パン」と「ケーキ」の2つを生産しているとします。 パンを1単位多く作るためにケーキを2個減らさなければならないとすれば、ケーキに対するパンの限界変形率は2です。
数式で表すと、限界変形率 \(MRT_{xy}\) は次のように定義されます:
\[ MRT_{xy} = -\frac{MC_x}{MC_y} \]
ここで:
- \(MC_x\):財x(例:パン)の限界費用
- \(MC_y\):財y(例:ケーキ)の限界費用
限界変形率は生産可能性フロンティア(PPF)の傾きに相当します。
限界代替率と限界変形率の違い
| 項目 | 限界代替率(MRS) | 限界変形率(MRT) |
|---|---|---|
| 定義 | 効用を一定に保つときの財の交換比率 | 生産を切り替えるときの財の交換比率 |
| 使う人 | 消費者 | 生産者 |
| グラフ | 無差別曲線の傾き | 生産可能性フロンティアの傾き |
| 数式 | \(-\frac{MU_x}{MU_y}\) | \(-\frac{MC_x}{MC_y}\) |
MRSは「消費者がどれだけ代替したいか」、MRTは「生産者がどれだけ変形しなければならないか」を示しています。
実生活の例で理解しよう
限界代替率の例
ある高校生が、テスト勉強と部活動の時間の配分を考えているとします。 勉強1時間でテストの点が5点上がり、部活1時間で楽しさが10上がるとしたとき、効用(満足度)を同じに保つには、勉強を1時間減らす代わりに、部活を何時間すれば良いか?
仮に効用を点数と楽しさの合計で測るとすれば: \[ MRS = -\frac{MU_{\text{勉強}}}{MU_{\text{部活}}} = -\frac{5}{10} = -0.5 \] これは、部活0.5時間をすることで、勉強1時間と同じ効用が得られることを意味します。
限界変形率の例
パン屋さんが、1日8時間の労働時間を使って「パン」か「クッキー」を作れるとします。 パン1個作るのに2時間、クッキー1個作るのに1時間かかるとすると、パンを1個多く作るためにはクッキーを2個減らさなければなりません。
\[ MRT = -\frac{2}{1} = -2 \] これは、クッキー2個分の時間を使えば、パン1個作れるという意味です。
まとめ
- 限界代替率(MRS)は「消費者の選択行動」に関する指標
- 限界変形率(MRT)は「生産者の選択行動」に関する指標
- どちらも「1単位を増やすために他を何単位減らすか」という傾きの考え方が基本
- グラフや数式に慣れると経済学の理解が深まる
高校生のうちからこれらの考え方に触れておくことで、大学の経済学や実社会での意思決定に役立ちます。