高校生のための徹底解説:コブダグラス型生産関数と限界生産力
このページでは、高校生にもわかりやすいように「コブダグラス型生産関数」と「限界生産力」について、数式や例を交えて徹底的に解説します。
目次
1. 生産関数とは?
経済学では、モノやサービスを作るために、労働や資本といった「投入(インプット)」が必要です。
この「投入」と「産出(アウトプット)」の関係を数式で表したものが生産関数です。
例えば、ピザ屋さんがいて、「ピザ職人の人数(労働)」と「オーブンの数(資本)」によって、「作れるピザの数」が決まるとします。これを式で表すと以下のようになります。
$$ Q = f(L, K) $$
- \( Q \):産出(例:ピザの枚数)
- \( L \):労働量(例:職人の人数)
- \( K \):資本量(例:オーブンの数)
2. コブダグラス型生産関数とは?
コブダグラス型生産関数(Cobb-Douglas Production Function)は、最も基本的でよく使われる生産関数のひとつです。形は以下の通りです。
$$ Q = A \cdot L^{\alpha} \cdot K^{\beta} $$
- \( A \):技術レベル(定数)
- \( \alpha \)、\( \beta \):それぞれ労働と資本の生産弾力性(0より大きい)
特徴は以下の通りです:
- 労働と資本の両方が生産に貢献する。
- \( \alpha + \beta = 1 \) のとき、規模に対して一定の収穫(規模の経済が働かない)。
- 各投入の比率を保てば、生産性は比例的に変わる。
3. 限界生産力とは?
限界生産力(Marginal Product)とは、ある投入要素を1単位だけ増やしたとき、どれだけ産出が増えるかを示す指標です。
例えば、ピザ職人を1人増やしたときにピザの枚数がどれだけ増えるか、それが「労働の限界生産力(MPL)」です。
一般に、限界生産力は偏微分で表します:
労働の限界生産力(MPL): $$ MPL = \frac{\partial Q}{\partial L} $$
資本の限界生産力(MPK): $$ MPK = \frac{\partial Q}{\partial K} $$
4. コブダグラス型における限界生産力の計算
ここでは、コブダグラス型生産関数における限界生産力の具体的な計算を見ていきます。
コブダグラス型:
$$ Q = A \cdot L^{\alpha} \cdot K^{\beta} $$
労働の限界生産力(MPL)
$$ \frac{\partial Q}{\partial L} = A \cdot \alpha \cdot L^{\alpha – 1} \cdot K^{\beta} $$
資本の限界生産力(MPK)
$$ \frac{\partial Q}{\partial K} = A \cdot \beta \cdot L^{\alpha} \cdot K^{\beta – 1} $$
つまり、労働や資本を1単位増やしたときの生産量の増加分は、それぞれの指数(\( \alpha \), \( \beta \))と関係しています。
5. 実例で理解しよう
具体的な数字を使って見てみましょう。
例1:パラメータを設定する
- \( A = 1 \)
- \( \alpha = 0.6 \)
- \( \beta = 0.4 \)
- \( L = 10 \)
- \( K = 5 \)
生産量は次のように計算されます: $$ Q = 1 \cdot 10^{0.6} \cdot 5^{0.4} $$ 計算すると: $$ Q \approx 3.98 \cdot 2.29 \approx 9.12 $$
労働の限界生産力(MPL)
$$ MPL = 1 \cdot 0.6 \cdot 10^{-0.4} \cdot 5^{0.4} \approx 0.6 \cdot 0.398 \cdot 2.29 \approx 0.546 $$
つまり、職人をもう1人雇った場合、生産量は約0.546枚分増えることがわかります。
6. まとめとポイント
- 生産関数とは、投入(労働・資本)と産出の関係を数式で表したもの。
- コブダグラス型生産関数は \( Q = A \cdot L^{\alpha} \cdot K^{\beta} \) の形。
- 限界生産力は、「1単位増やしたときの効果」を見るための重要な概念。
- 計算には微分(偏微分)を使うが、考え方自体は直感的。
- 現実の経済やビジネスでも非常に役立つモデル。
このような経済モデルを理解することで、現実の問題に数学を使ってアプローチできるようになります。