【高校生向け】経済学の「契約曲線」をゼロからわかりやすく解説!
この記事では、経済学の中でも重要な概念である「契約曲線」について、高校生でも理解できるように丁寧に解説します。エッジワース・ボックスやパレート最適といった基本用語から、図を使った直感的な説明、数式による裏付けまで、幅広く網羅します。
目次
契約曲線とは?
契約曲線(Contract Curve)は、経済学において「資源の配分がパレート最適であるような点の集合」を表す曲線です。より直感的に言うと、2人の人(あるいは消費者)が財を交換し合って、どちらの人も他方の犠牲なしにはこれ以上幸せになれないような配分が並ぶ曲線です。
エッジワース・ボックスの基本
契約曲線を理解するには、まずエッジワース・ボックス(Edgeworth Box)という図を知っておく必要があります。
- 2人の消費者(AさんとBさん)
- 2つの財(たとえば「リンゴ」と「みかん」)
- 両者の初期保有量(はじめに持っている財の量)
この3つの情報をもとに、エッジワース・ボックスでは財の分配状態を図で表現します。
パレート最適と効率的な資源配分
パレート最適(Pareto Efficiency)とは、「誰かをより良くするには、誰かを悪くするしかないような状態」を指します。つまり、これ以上改善の余地がない配分です。
パレート最適な配分では、消費者AとBの無差別曲線(同じ満足度の点を結んだ線)が接していることが特徴です。
契約曲線の定義と導出
契約曲線とは、「すべてのパレート最適な点の集合」を表したものです。エッジワース・ボックス上で、AとBの無差別曲線が接する点をすべてつなぐと契約曲線が描かれます。
数学的には、AさんとBさんの限界代替率(MRS)が等しいときにパレート最適が成立します:
\[ \text{MRS}^A = \text{MRS}^B \]
限界代替率とは、「1単位のリンゴと引き換えに何個のみかんをもらえば満足度が同じか」を表す指標です。
具体的な数式と例
たとえば、AさんとBさんの効用関数(満足度を表す関数)が次のようになっているとします:
\[ U_A(x_A, y_A) = x_A \cdot y_A \\ U_B(x_B, y_B) = x_B \cdot y_B \]
このとき、それぞれの限界代替率(MRS)は次のように求められます:
\[ \text{MRS}^A = \frac{y_A}{x_A}, \quad \text{MRS}^B = \frac{y_B}{x_B} \]
パレート最適な点では、
\[ \frac{y_A}{x_A} = \frac{y_B}{x_B} \]
この条件に加えて、資源の総量が決まっていると仮定すると(たとえば、リンゴとみかんがそれぞれ10個ずつ)、
\[ x_A + x_B = 10, \quad y_A + y_B = 10 \]
これらの条件をもとに連立方程式を解くことで、契約曲線を具体的に求めることができます。
なぜ契約曲線は重要なのか?
契約曲線は、経済の効率的な資源配分を考える上で非常に重要です。政府の政策や市場メカニズムが、どのように効率的な配分に導くかを考えるとき、契約曲線の知識が不可欠です。
また、交渉や交換において、契約曲線上にある配分は「これ以上お互いが得をする余地がない」ため、現実の経済でも取引や交渉の落とし所として重要視されます。
まとめ
- 契約曲線は、すべてのパレート最適な点を結んだ曲線
- エッジワース・ボックス上で、無差別曲線が接する点をつないで描かれる
- 限界代替率(MRS)が等しいことがパレート最適の条件
- 経済の効率的な配分や政策の評価に役立つ重要な概念
高校の経済や政治経済の学習をより深めたい人にとって、契約曲線は非常に面白く、役立つテーマです。大学で経済学を学ぶ予定の人は、ぜひ理解しておきましょう!