高校生のための経済学:逆需要関数と独占価格の仕組みを完全解説!
目次
1. 需要関数と逆需要関数とは?
経済学では、ある商品の「価格」と「需要量」の関係を数式で表すことがあります。 このとき登場するのが「需要関数」と「逆需要関数」です。
需要関数
需要関数は、商品の価格 \( p \) を入力として、それに対応する需要量 \( Q \) を出力する関数です。たとえば、
\[ Q = 100 – 2p \]
という式は、価格が上がると需要量が減る(=需要の法則)ことを意味しています。
逆需要関数
逆需要関数は、この需要関数を「需要量」 \( Q \) を入力として「価格」 \( p \) を出力するように書き直したものです。 たとえば、上の式を変形すると、
\[ p = 50 – 0.5Q \]
となります。これは「需要が多ければ価格を安くしないと売れない」という関係を示しています。
2. 独占市場とはどんな市場?
独占市場とは、ある商品を売っている企業が1社しか存在しない市場のことです。 この企業は価格支配力を持っており、商品の価格を自分で決めることができます。
競争が存在しないため、消費者はその企業から買うしかなく、企業がどのように価格を設定するかが非常に重要になります。
3. 独占企業はどうやって価格を決める?
独占企業は、自社の利益(収入から費用を引いたもの)を最大にするように価格と生産量を決めます。 ここで重要になるのが「逆需要関数」です。
収入(売上)とは?
収入(売上) \( R \) は、「価格 × 数量」で表せます。逆需要関数を使うと次のように書けます。
\[ R(Q) = p(Q) \times Q \]
たとえば \( p(Q) = 50 – 0.5Q \) であれば、
\[ R(Q) = (50 – 0.5Q) \times Q = 50Q – 0.5Q^2 \]
費用(コスト)と利益
費用 \( C(Q) \) が生産量 \( Q \) に応じて例えば \( C(Q) = 10Q \) だったとします。 このとき、利益 \( \Pi(Q) \) は、
\[ \Pi(Q) = R(Q) – C(Q) = (50Q – 0.5Q^2) – 10Q = 40Q – 0.5Q^2 \]
この式の最大値を求めれば、企業が利益を最大にできる生産量 \( Q \) がわかります。
利益最大化条件
最大値を求めるには、利益関数の微分が0になる点を探します:
\[ \frac{d\Pi}{dQ} = 40 – Q = 0 \Rightarrow Q = 40 \]
このときの価格は逆需要関数より
\[ p = 50 – 0.5 \times 40 = 30 \]
したがって、企業は価格30円、数量40個で販売するのが最も利益を得られる戦略になります。
4. 具体例で理解しよう
もう少し違う例でも見てみましょう。
例2
需要関数:\( Q = 200 – 4p \)(→逆需要関数:\( p = 50 – 0.25Q \))
費用関数:\( C(Q) = 5Q \)
収入は:
\[ R(Q) = (50 – 0.25Q) \times Q = 50Q – 0.25Q^2 \]
利益は:
\[ \Pi(Q) = R(Q) – C(Q) = 50Q – 0.25Q^2 – 5Q = 45Q – 0.25Q^2 \]
最大化のために微分してゼロに:
\[ \frac{d\Pi}{dQ} = 45 – 0.5Q = 0 \Rightarrow Q = 90 \]
このときの価格は:
\[ p = 50 – 0.25 \times 90 = 27.5 \]
つまり、この企業は価格27.5円、数量90個で売るのがベストです。
5. まとめ
- 需要関数は「価格 → 数量」、逆需要関数は「数量 → 価格」の関係を表す。
- 独占企業は逆需要関数を使って利益を最大化するように価格と数量を決定する。
- 利益は「収入 – 費用」、収入は「価格 × 数量」で計算される。
- 逆需要関数があることで、「価格を変えれば需要がどう変わるか」が計算できる。
- 具体例を通して、逆需要関数が利益最大化にどう使われるかを理解できる。