高校生でもわかる!効用最大化問題のやさしい解き方【経済学入門】

高校生でもわかる!効用最大化問題のやさしい解き方【経済学入門】

このページでは、経済学の基礎である「効用最大化問題」について、高校生にも理解できるように、豊富な例とともにわかりやすく解説します。

目次

効用(Utility)とは?

経済学では、「効用」とは人が財やサービスを消費することで得られる満足度のことです。

たとえば、アイスクリームを1個食べたら「美味しい!」と感じますよね。この「美味しさ」や「満足感」が効用です。

効用は人によって異なり、同じアイスでも好きな人は高い効用を、苦手な人は低い効用を感じます。

効用最大化問題とは?

効用最大化問題とは、限られたお金(予算)の中で、どの商品をどれだけ買えば「満足度(効用)」が最大になるかを考える問題です。

これは消費者がどのように行動するかを説明する基本モデルであり、ミクロ経済学の中心的なテーマの一つです。

予算制約とは?

予算制約とは、「持っているお金の範囲内でしか買い物できない」という制約です。

例えば、1000円持っていて、りんご1個100円、バナナ1本200円とすると、以下のような買い方ができます:

  • りんご10個(100円×10 = 1000円)
  • バナナ5本(200円×5 = 1000円)
  • りんご5個とバナナ2本(100円×5 + 200円×2 = 900円)

このように、消費の組み合わせは予算の範囲内で選ぶ必要があります。

効用最大化問題の解き方

効用最大化問題は、以下のステップで解きます:

  1. 効用関数と予算制約を設定する
  2. ラグランジュ乗数法を使って最適化する

1. 効用関数と予算制約を設定する

たとえば、財Aと財Bを消費するときの効用関数が以下のように与えられているとします:

\[ U(x, y) = x^{0.5} y^{0.5} \]

ここで、\( x \)は財Aの消費量、\( y \)は財Bの消費量です。

予算制約は以下のように与えられます:

\[ p_x x + p_y y = I \]

ここで、\( p_x \)は財Aの価格、\( p_y \)は財Bの価格、\( I \)は所得(持っているお金)です。

2. ラグランジュ乗数法で最適化する

効用最大化問題をラグランジュの方法で解きます。ラグランジュ関数を作ります:

\[ \mathcal{L}(x, y, \lambda) = x^{0.5} y^{0.5} + \lambda(I – p_x x – p_y y) \]

偏微分して、各変数についての一階条件を立てます:

\[ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial x} = 0.5 x^{-0.5} y^{0.5} – \lambda p_x = 0 \]

\[ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial y} = 0.5 x^{0.5} y^{-0.5} – \lambda p_y = 0 \]

\[ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial \lambda} = I – p_x x – p_y y = 0 \]

この3つの式を連立して解くと、最適な\( x \)と\( y \)の値が得られます。

例題で確認してみよう

【例題】次の条件のもとで効用最大化を行いましょう。

  • 効用関数: \( U(x, y) = x^{0.5} y^{0.5} \)
  • 価格: \( p_x = 100 \), \( p_y = 200 \)
  • 所得: \( I = 1000 \)

ステップ1:限界代替率(MRS)を使う

まず、効用最大化の一階条件から以下が導けます:

\[ \frac{MU_x}{MU_y} = \frac{p_x}{p_y} \]

限界効用を計算すると:

\[ MU_x = 0.5 x^{-0.5} y^{0.5}, \quad MU_y = 0.5 x^{0.5} y^{-0.5} \]

よって:

\[ \frac{y}{x} = \frac{p_x}{p_y} = \frac{100}{200} = \frac{1}{2} \Rightarrow y = \frac{x}{2} \]

ステップ2:予算制約に代入

\[ 100x + 200y = 1000 \Rightarrow 100x + 200 \cdot \frac{x}{2} = 1000 \Rightarrow 100x + 100x = 1000 \Rightarrow 200x = 1000 \Rightarrow x = 5 \Rightarrow y = \frac{5}{2} = 2.5 \]

最適な消費量は、財Aを5個、財Bを2.5個買うことです。

まとめ

  • 効用とは「満足度」のこと
  • 効用最大化問題では、限られた予算内で満足度を最大化する行動を分析する
  • ラグランジュ法や限界代替率を使って解ける
  • 実際の計算では代入と連立方程式をしっかり使うことが大事

高校数学の知識があれば、効用最大化問題は十分に理解・計算できます。ミクロ経済学の基礎として、ぜひしっかりマスターしておきましょう!

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