高校生にもわかる!貨幣保有の機会費用を徹底解説
このページでは、「貨幣保有の機会費用」という経済学の重要な概念について、高校生でも理解できるようにわかりやすく解説します。お金を手元に持っておくことには、見えない「コスト」があるのです。その理由と仕組みを、例や数式を交えて詳しく説明していきます。
目次
- 1. 機会費用とは何か?
- 2. なぜ貨幣を保有するのか?
- 3. 貨幣保有の機会費用とは?
- 4. 数式で理解する機会費用
- 5. 例題:現金を持つ vs 預金にする
- 6. 金利・インフレとの関係
- 7. まとめと学習のポイント
1. 機会費用とは何か?
経済学において「機会費用(opportunity cost)」とは、「ある選択をしたときに、他の選択肢で得られたはずの最大の利益」を意味します。言い換えると、「本来なら得られたはずの利益を、別の選択をしたために失ってしまったコスト」です。
例: 1時間の空き時間に、アルバイトをすれば1000円稼げるとします。その時間をゲームに使ったとすれば、ゲームは楽しかったとしても、「アルバイトで得られたはずの1000円」が機会費用です。
2. なぜ貨幣を保有するのか?
人々が貨幣(現金)を保有する理由はいくつかあります:
- 取引動機:日常的な買い物や支払いのために必要。
- 予備的動機:急な出費に備えるため。
- 投機的動機:将来の投資チャンスを待つため。
このように、貨幣を保有することには利便性がありますが、その一方で「機会費用」が発生するのです。
3. 貨幣保有の機会費用とは?
貨幣保有の機会費用とは、「お金を使わずに持っていることで失われる利益」のことです。
もし、手元にある現金を銀行に預ければ利息がつきます。あるいは、株式に投資すれば配当や値上がり益が得られるかもしれません。ところが、現金として手元に保有していると、これらの利益は得られません。これが「貨幣保有の機会費用」です。
4. 数式で理解する機会費用
貨幣保有の機会費用をより厳密に理解するには、金利やインフレ率を用いた数式が役立ちます。
たとえば、年利 \( r \) の預金口座があるとき、100円を現金で持っている代わりに預けていれば、1年後には
\[ 100 \times (1 + r) \]
円になっていたはずです。したがって、貨幣保有の機会費用は
\[ 100 \times r \]
円と考えることができます。
さらに、インフレ率を \( \pi \) とすると、実質金利(購買力ベースの金利)は
\[ r – \pi \]
です。これに基づけば、現金保有の実質的な機会費用は、インフレで価値が減る分も含めてより大きくなります。
5. 例題:現金を持つ vs 預金にする
状況:あなたは10万円を持っています。以下の2つの選択肢があります。
- A. 現金として財布に保管する
- B. 年利2%の普通預金に入れる
このとき、1年後に得られる金額は次の通りです。
Bを選んだ場合の預金額:
\[ 100,000 \times (1 + 0.02) = 102,000 \text{円} \]
つまり、Aを選んだ場合の機会費用は 2,000円 ということになります。
6. 金利・インフレとの関係
貨幣保有の機会費用は、金利が高いほど、またはインフレ率が高いほど大きくなります。
理由: 高金利であれば預金や債券の利子収入が増えるため、現金を保有する「損失」が大きくなります。インフレが進めば、現金の価値が減るため、やはり現金保有のコストは大きくなります。
そのため、中央銀行が金利を操作することで、企業や個人の貨幣保有行動に影響を与え、景気調整を行うことがあるのです。
7. まとめと学習のポイント
- 機会費用は「失われた可能性のある利益」のこと。
- 貨幣を保有すると、預金や投資による利息・配当を得るチャンスを逃す。
- この「逃した利益」が貨幣保有の機会費用。
- 金利が高い・インフレ率が高いときほど、機会費用は大きくなる。
経済学の視点からお金の使い方を考えることは、将来の資産形成にも役立ちます。ぜひ日常生活の中でも「機会費用」を意識してみましょう。