【高校生向け経済学】限界費用と可変費用の違いをわかりやすく徹底解説!
目次
限界費用とは?
限界費用とは、「財やサービスを1単位追加で生産したときに増える費用」のことを言います。 つまり、生産量を1つ増やしたときに、どれだけコストが増えるのかを表す指標です。
数式で表すと、次のようになります。
\[ MC = \frac{\Delta TC}{\Delta Q} \]
ここで、
- \( MC \):限界費用(Marginal Cost)
- \( \Delta TC \):総費用の変化
- \( \Delta Q \):生産量の変化(通常は1)
例えば、プリンターで冊子を印刷しているとしましょう。100冊印刷するのに合計で1,000円かかり、101冊目を印刷するのに1,015円になったとすると、101冊目にかかる追加の費用(限界費用)は、
\[ \frac{1,015 – 1,000}{101 – 100} = 15 \text{円} \]
この15円が限界費用です。
可変費用とは?
可変費用とは、生産量に応じて増減する費用のことです。たとえば、材料費、電気代、人件費(アルバイトの時給など)は、作れば作るほど必要になりますよね。これらが可変費用に当たります。
反対に、生産量が増えても変わらない費用(例えば、工場の家賃や固定給の正社員の給料など)は「固定費用(固定費)」と呼ばれます。
総費用(Total Cost, TC)は次のように分けられます。
\[ TC = FC + VC \]
ここで、
- \( TC \):総費用(Total Cost)
- \( FC \):固定費用(Fixed Cost)
- \( VC \):可変費用(Variable Cost)
つまり、可変費用は生産すればするほど増えるコストであり、0個生産すれば0円になるのが基本です。
限界費用と可変費用の違い
限界費用と可変費用は似ているようで、全く異なる概念です。違いを整理してみましょう。
| 項目 | 限界費用 | 可変費用 |
|---|---|---|
| 定義 | 1単位増やしたときの追加費用 | 生産量に応じて変動する費用全体 |
| 数式 | \( MC = \frac{\Delta TC}{\Delta Q} \) | \( VC = TC – FC \) |
| 費用の変動 | 1単位ごとの変化 | 生産量に比例して変化 |
| 固定費との関係 | 含まない | 含まない |
まとめると、限界費用は「今、1個作るのにいくらかかるか」、可変費用は「今までに作ったもの全部にかかった、変動する費用の合計」です。
例で理解しよう!
あるクッキー工場を例に考えてみましょう。
- 小麦粉、砂糖などの材料費:1枚あたり10円(可変費用)
- アルバイトの人件費:1時間あたり1,000円(1時間で100枚焼ける)
- 工場の家賃(月額固定):100,000円(固定費用)
100枚焼くときの可変費用は、
\[ VC = (材料費10円 \times 100枚) + (人件費1,000円 \times 1時間) = 2,000円 \]
101枚目を焼くのにかかる費用(限界費用)は、材料費10円と、人件費が変わらなければ追加の費用は材料費のみ。
\[ MC = 10円 \]
ただし、もし101枚目を焼くために新たに1時間アルバイトを追加しなければならないなら、限界費用は人件費分も含めて1,010円になります。
まとめ
限界費用と可変費用は、どちらも「費用」に関する概念ですが、視点が異なります。
- 限界費用は、「1単位増やすときにかかる追加費用」
- 可変費用は、「生産量に応じて増減する費用の合計」
どちらも企業の意思決定や価格設定にとって非常に重要です。高校の経済学や大学入試でも頻出のテーマなので、しっかり区別して理解しておきましょう!