【高校生向け徹底解説】操業停止点とは?平均可変費用との関係をやさしく解説!
目次
操業停止点とは何か?
操業停止点(shut-down point)とは、企業が一時的に生産(操業)を中止すべきかどうかを判断する基準となる点です。
具体的には、売上から得られる収入(限界収入)が、可変費用すらカバーできなくなったとき、 企業は操業をやめた方が損失を少なくできると判断します。
可変費用と固定費用の違い
まずは費用の種類を理解しましょう。企業の費用は大きく分けて以下の2つがあります:
- 固定費(Fixed Cost, FC):生産量に関係なく発生する費用(例:家賃、機械のリース代など)
- 可変費(Variable Cost, VC):生産量に応じて変わる費用(例:原材料費、労働費など)
固定費は工場を閉めてもかかり続ける費用ですが、可変費は生産を止めればゼロになります。
平均可変費用(AVC)とは?
平均可変費用(Average Variable Cost, AVC)は、単位あたりの可変費用のことです。以下の式で定義されます。
$$ AVC = \frac{VC}{Q} $$
ここで、\( VC \) は可変費用、\( Q \) は生産量(生産された商品の数)です。
操業停止点と平均可変費用の関係
操業停止点は、「価格(P)」と「平均可変費用(AVC)」が等しくなる点です。数式で表すと、
$$ P = AVC $$
このとき、売上高はちょうど可変費用をカバーできる水準です。つまり、固定費の分だけ赤字になりますが、それ以上の損失は出ません。
逆に、価格が平均可変費用よりも低い場合(\( P < AVC \))には、操業を続けると可変費すらカバーできず、操業によって赤字が増えてしまいます。この場合、企業は操業を停止した方が損失を抑えられます。
操業継続・停止の判断例
例1:操業を続けるべきケース
ある企業が1個100円で商品を販売しており、次のような費用構造だとします:
- 固定費:1,000円
- 可変費:1,500円(50個生産時)
このとき、平均可変費用は
$$ AVC = \frac{1500}{50} = 30 $$
販売価格は100円なので、価格はAVCより高い(100 > 30)。可変費用は十分にカバーできるので、企業は操業を継続した方が損失は小さくなります。
例2:操業を停止すべきケース
今度は景気悪化で販売価格が1個20円に下落したとします。すると、
- 販売価格:20円
- AVC:30円(変わらず)
$$ P = 20 < AVC = 30 $$
この場合、売上は可変費を下回るため、操業すればするほど損失が増えます。したがって、この企業は操業停止を選ぶべきです。
まとめ
- 操業停止点とは、価格が平均可変費用と等しくなる点である。
- 価格がAVCより高ければ、操業継続が合理的。
- 価格がAVCより低ければ、操業停止が合理的。
- 固定費は操業してもしなくても発生するため、判断材料には直接関与しない。
「操業停止点」という概念を理解することで、企業の経済的判断がよりリアルにイメージできるようになります。ミクロ経済学の基礎として非常に重要なテーマなので、ぜひしっかり身につけましょう!