約数関数の定義と性質を徹底解説

約数関数の定義と性質を徹底解説

約数関数は、整数論において重要な役割を果たす関数であり、数の性質を深く理解するための鍵となります。ここでは、約数関数の定義から基本的な性質、具体例、さらには証明までを詳しく解説します。

目次

約数関数の定義

自然数 \( n \geq 1 \) と整数 \( k \) に対して、約数関数 \( \sigma_k(n) \) は次のように定義されます:

$$ \sigma_k(n) = \sum_{d \mid n} d^k $$

ここで、\( d \mid n \) は \( d \) が \( n \) の正の約数であることを意味します。特に、以下のような特別な場合があります:

  • \( \sigma(n) = \sigma_1(n) \):\( n \) の正の約数の総和。
  • \( d(n) = \sigma_0(n) \):\( n \) の正の約数の個数。

具体例

具体的な例を通して、約数関数の計算方法を見てみましょう。

例1:\( n = 15 \)

15 の正の約数は 1, 3, 5, 15 です。

  • \( \sigma_0(15) = 1^0 + 3^0 + 5^0 + 15^0 = 1 + 1 + 1 + 1 = 4 \)
  • \( \sigma_1(15) = 1 + 3 + 5 + 15 = 24 \)
  • \( \sigma_2(15) = 1^2 + 3^2 + 5^2 + 15^2 = 1 + 9 + 25 + 225 = 260 \)

例2:\( n = 12 \)

12 の正の約数は 1, 2, 3, 4, 6, 12 です。

  • \( \sigma_0(12) = 1^0 + 2^0 + 3^0 + 4^0 + 6^0 + 12^0 = 6 \)
  • \( \sigma_1(12) = 1 + 2 + 3 + 4 + 6 + 12 = 28 \)
  • \( \sigma_2(12) = 1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + 6^2 + 12^2 = 1 + 4 + 9 + 16 + 36 + 144 = 210 \)

約数関数の性質と証明

約数関数には、以下のような重要な性質があります。

性質1:乗法性

互いに素な自然数 \( m, n \) に対して、

$$ \sigma_k(mn) = \sigma_k(m) \cdot \sigma_k(n) $$

この性質は、約数関数が乗法的関数であることを示しています。

性質2:素因数分解を用いた計算

自然数 \( n \) の素因数分解を \( n = \prod_{i=1}^r p_i^{a_i} \) とすると、

$$ \sigma_k(n) = \prod_{i=1}^r \left(1 + p_i^k + p_i^{2k} + \dots + p_i^{a_i k}\right) = \prod_{i=1}^r \frac{p_i^{(a_i + 1)k} – 1}{p_i^k – 1} $$

特に、

  • \( d(n) = \prod_{i=1}^r (a_i + 1) \)
  • \( \sigma(n) = \prod_{i=1}^r \frac{p_i^{a_i + 1} – 1}{p_i – 1} \)

証明の概要

約数関数の性質を証明するために、以下のような手順を踏みます:

  1. 約数の定義に基づいて、約数関数を定義します。
  2. 素因数分解を用いて、約数関数を積の形に変形します。
  3. 数列の和の公式を適用して、閉じた形の式を導出します。

これにより、約数関数の性質が明らかになります。

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