【LaTeX】定理を枠線で囲む方法
LaTeXでは、定理や補題、命題などの数学的な主張を明確にするために、定理環境を使用して表現します。この環境に装飾を加えることで、定理を視覚的に目立たせることが可能です。以下では、基本的な定理環境の使い方や定理を枠で囲む方法、さらに応用的な例を紹介します。
基本的な定理環境
LaTeXの標準的な定理環境は、amsthmパッケージを使用して作成します。このパッケージを使用すると、\newtheoremコマンドで新しい定理の形式を定義できます。
\usepackage{amsthm}
\newtheorem{theorem}{定理}
\begin{theorem}
任意の偶数は2つの素数の和として表現できる。
\end{theorem}
この方法では、定理が単純に表示されますが、枠を付けたり装飾を加えたりすることはできません。
単純な枠で囲む方法
枠で囲むためには、tcolorboxやfancyboxなどのパッケージを使用します。ここでは、tcolorboxを使用した例を示します。
\usepackage{amsthm, tcolorbox}
\newtcolorbox{mytheorem}{colback=white, colframe=black, boxrule=1pt}
\newtheorem{theorem}{定理}
\begin{mytheorem}
\begin{theorem}
フェルマーの最終定理:$n > 2$ の場合、$x^n + y^n = z^n$ を満たす整数解 $(x, y, z)$ は存在しない。
\end{theorem}
\end{mytheorem}
この方法では、シンプルな黒枠が定理を囲む形になります。
Fancyboxを使った枠の装飾
fancyboxパッケージを使用すると、定理を角の丸い枠で囲むことができます。
\usepackage{amsthm, fancybox}
\newtheorem{theorem}{定理}
\begin{Sbox}
\begin{minipage}{0.9\textwidth}
\begin{theorem}
ピタゴラスの定理:直角三角形の斜辺の長さは他の2辺の長さの平方和の平方根である。
\end{theorem}
\end{minipage}
\end{Sbox}
\begin{center}
\shadowbox{\TheSbox}
\end{center}
このコードでは、影付きの枠が作成され、視覚的な強調が可能です。
mdframedパッケージによる枠のカスタマイズ
mdframedパッケージを使用すると、定理の枠を細かくカスタマイズできます。
\usepackage{amsthm, mdframed}
\newtheorem{theorem}{定理}
\newmdenv[linecolor=blue, linewidth=2pt, roundcorner=10pt]{theoremframe}
\begin{theoremframe}
\begin{theorem}
2次方程式の解の公式:$ax^2 + bx + c = 0$ の解は $x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}$ で与えられる。
\end{theorem}
\end{theoremframe}
この方法では、枠線の色や太さ、角の丸みなどを自由に設定できます。
色付きの定理枠を作る方法
カラフルな枠を作るには、tcolorboxを利用して背景色や枠線色を設定します。
\usepackage{amsthm, tcolorbox}
\newtcolorbox{coloredtheorem}[1][]{
colback=blue!5!white, colframe=blue!75!black, fonttitle=\bfseries,
title=#1
}
\newtheorem{theorem}{定理}
\begin{coloredtheorem}[ピタゴラスの定理]
\begin{theorem}
直角三角形の斜辺の長さは他の2辺の長さの平方和の平方根である。
\end{theorem}
\end{coloredtheorem}
この方法では、背景色を設定して目立つ定理枠を作ることができます。
まとめ
LaTeXで定理を囲む方法は、必要な装飾や用途に応じて様々な選択肢があります。シンプルな枠から高度なカスタマイズが可能な枠まで、tcolorboxやmdframedを使うことで柔軟にデザインできます。これらを活用して、美しい数学文書を作成してください。