高校数学で差がつく!パスカルの三角形・応用問題を徹底マスター
目次
パスカルの三角形とは
パスカルの三角形とは、各行の数値が上の行の2つの数を足したものになるように並べられた数の三角形です。名前の由来は17世紀の数学者ブレーズ・パスカルですが、古代中国やインドにも同様の概念が存在していました。
三角形の作り方
まず、0行目に1を1つ書きます。その下に、左端と右端を1として、その間の数字を上の行の左右の数を足して書きます。
1
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
一般に、パスカルの三角形の\(n\)行目(0始まり)の\(k\)番目(0始まり)の数値は、組み合わせの記号を使って次のように表されます: \[ {n \choose k} = \frac{n!}{k!(n-k)!} \]
二項定理との関係
パスカルの三角形は、二項定理と密接な関係があります。二項定理は次の式で表されます: \[ (x + y)^n = \sum_{k=0}^{n} {n \choose k} x^{n-k} y^k \] このとき、係数として現れる\({n \choose k}\)が、パスカルの三角形の\(n\)行目に並ぶ数値になります。
例:
\[ (x + y)^3 = {3 \choose 0}x^3 + {3 \choose 1}x^2y + {3 \choose 2}xy^2 + {3 \choose 3}y^3 \] \[ = 1x^3 + 3x^2y + 3xy^2 + 1y^3 \]性質とパターン
パスカルの三角形には多くの性質があります:
- 左右対称である
- 各行の合計は \(2^n\) になる
- フィボナッチ数列が対角線上に現れる
- チェッカーパターンを使えば偶奇の規則性が現れる
基本例題
例題1:\((x + y)^4\) を展開せよ。
パスカルの三角形より、第4行は「1, 4, 6, 4, 1」です。よって、 \[ (x + y)^4 = x^4 + 4x^3y + 6x^2y^2 + 4xy^3 + y^4 \]
例題2:\({6 \choose 2}\) を求めよ。
\[ {6 \choose 2} = \frac{6!}{2!4!} = \frac{720}{2 \times 24} = 15 \]
応用例題と解説
例題3:係数が最も大きくなるのは何番目か(\((x + y)^8\))
\((x + y)^8\) の係数は第8行の値:1, 8, 28, 56, 70, 56, 28, 8, 1。最大値は70で、中央の\(k = 4\)(または\(k = n/2\))で最大になる。
例題4:奇数番目の項の和を求めよ(\((1 + 1)^5\) のうち奇数番目の項)
まず、\((1 + 1)^5 = 2^5 = 32\)。
第5行:1, 5, 10, 10, 5, 1
奇数番目の係数は2番目(5)、4番目(10)、6番目(1)→ 合計:5 + 10 + 1 = 16
例題5:パスカルの三角形を使った確率の問題
コインを5回投げたとき、表がちょうど3回出る確率を求めよ。
全事象数:\(2^5 = 32\)、成功事象:\({5 \choose 3} = 10\)
よって確率は:
\[
\frac{{5 \choose 3}}{2^5} = \frac{10}{32} = \frac{5}{16}
\]
例題6:数列とパスカルの三角形
数列の差分をとると、パスカルの三角形に関係がある。例えば、数列 \(a_n = 2^n\) の差分を何度も取ると、係数がパスカルの三角形の1列と一致することがある。
まとめ
- パスカルの三角形は二項定理の係数を視覚的に表現できる便利な道具。
- 組み合わせ、確率、数列など幅広い分野で活用される。
- 構造がシンプルなため、暗記よりも「意味の理解」が重要。
応用問題では、「どのように係数を読み取るか」や「対称性・規則性に気づけるか」が重要です。