高校数学|不定方程式の整数解 応用例題を徹底解説
目次
不定方程式とは?
不定方程式とは、文字が複数含まれ、未知数の数よりも方程式の数が少ないために、解が一意に定まらない方程式のことです。特に整数解(整数になるような解)を求める問題がよく出題されます。
例えば、 \[ 3x + 5y = 1 \] のような方程式は、無数の実数解を持ちますが、「\(x\), \(y\)は整数とする」と条件を付けることで、不定方程式として扱われます。
基本的な考え方
不定方程式で整数解を求めるには、主に以下のアプローチを使います。
- 一次不定方程式なら、ユークリッドの互除法で一般解を求める
- 制約条件がある場合は、代入や絞り込みで適した解を見つける
- 複数の式があるときは、連立して整理する
これらを踏まえて、具体的な例題を通して理解を深めましょう。
応用例題1:2変数の一次不定方程式
例題:次の方程式の整数解をすべて求めなさい。 \[ 12x + 18y = 6 \]
解説:
まず、両辺を最大公約数で割って簡単にします。
\[
\frac{12x + 18y = 6}{6} \Rightarrow 2x + 3y = 1
\]
このような形になれば、ユークリッドの互除法で整数解を求められます。
まず、1を作る整数の組を探します。拡張ユークリッドの互除法で計算すると、 \[ 1 = 2 \cdot 2 – 1 \cdot 3 \] より、 \[ x = 2,\quad y = -1 \] が一つの解になります。
このときの一般解は、 \[ x = 2 + 3t,\quad y = -1 – 2t\quad (t \in \mathbb{Z}) \] です。
応用例題2:制約条件つきの整数解
例題:次の方程式の整数解のうち、\(x \geq 0\)、\(y \geq 0\) を満たすものをすべて求めなさい。 \[ 7x + 5y = 100 \]
解説:
まずは、一つの整数解を見つけます。試行錯誤で探すと、
\[
x = 5,\quad y = 13\quad \text{(なぜなら }7 \cdot 5 + 5 \cdot 13 = 100\text{)}
\]
一般解を求めるには、係数7と5の最小公倍数で式を調整します。 \[ x = 5 + 5t,\quad y = 13 – 7t\quad (t \in \mathbb{Z}) \]
制約条件 \(x \geq 0,\ y \geq 0\) を満たす範囲で \(t\) を調整します。
- \(x \geq 0\) より \(5 + 5t \geq 0 \Rightarrow t \geq -1\)
- \(y \geq 0\) より \(13 – 7t \geq 0 \Rightarrow t \leq 1\)
対応する解は:
- \(t = -1 \Rightarrow (x, y) = (0, 20)\)
- \(t = 0 \Rightarrow (x, y) = (5, 13)\)
- \(t = 1 \Rightarrow (x, y) = (10, 6)\)
応用例題3:3変数の方程式
例題:次の方程式の整数解のうち、自然数解を1組求めなさい。 \[ x + 2y + 3z = 20 \]
解説:
このような3変数の方程式では、2つの変数を自由変数とみなして、1つをそれで表す方法が一般的です。
例えば、\(z\) を自由に動かしてみます。
- \(z = 1 \Rightarrow x + 2y = 17\)
- \(z = 2 \Rightarrow x + 2y = 14\)
- \(z = 3 \Rightarrow x + 2y = 11\)
- …
例えば、 \[ y = 2 \Rightarrow x = 11 – 2 \cdot 2 = 7 \Rightarrow (x, y, z) = (7, 2, 3) \] が自然数解になります。
整数解を見つけるコツ
- まずは1つの整数解を見つけること
- 一般解を文字で表す(パラメータ \(t\) を使う)
- 条件付きの場合は、範囲を代入してチェックする
- 3変数以上のときは、自由に変数を選んで代入する
まとめ
不定方程式の整数解を求める問題は、計算力だけでなく論理的思考力も必要です。まずは基本のユークリッド互除法や一般解の出し方を理解し、段階的に応用問題に取り組みましょう。
特に入試や模試では、「解の個数」や「範囲つきの解」など、実用的な応用が問われることが多いため、例題をしっかりとマスターしておくことが大切です。