高校数学で学ぶ!終結式の意味と応用を例題で徹底解説
この記事では、多項式に関する重要な概念である「終結式(Resolvant, resultant)」について、高校数学の知識をもとに、定義から応用例まで丁寧に解説します。多項式の共通解の判定や代数方程式の根の扱いに役立つこの概念は、数学オリンピックや大学入試レベルの問題でも登場します。
目次
終結式とは?
2つの多項式
\( f(x) = a_n x^n + a_{n-1} x^{n-1} + \cdots + a_0 \)
\( g(x) = b_m x^m + b_{m-1} x^{m-1} + \cdots + b_0 \)
に対して、これらが共通の根(つまり、両方の多項式を0にする \( x \))を持つかどうかを判定するための値を終結式と呼びます。終結式は行列式を使って定義され、次のように表されます:
終結式 \( \text{Res}(f, g) \) は、Sylvester行列と呼ばれる特別な行列の行列式として定義されます。
なぜ終結式を使うのか?
終結式の重要な性質のひとつは次の通りです:
- \( f(x) \) と \( g(x) \) が共通の根を持つとき、終結式は 0 になる。
- 逆に、共通の根を持たないとき、終結式は 0 以外の値になる。
この性質は、代数方程式の解を扱うときや、代数的な独立性を調べるときに大変便利です。
終結式の計算方法
終結式は、以下のような Sylvester行列 の行列式として定義されます。
たとえば、次のような2つの2次多項式:
\( f(x) = a_2 x^2 + a_1 x + a_0 \)
\( g(x) = b_2 x^2 + b_1 x + b_0 \)
に対するSylvester行列は以下のようになります:
| a₂ a₁ a₀ 0 | | 0 a₂ a₁ a₀ | | b₂ b₁ b₀ 0 | | 0 b₂ b₁ b₀ |
この4×4行列の行列式を計算したものが終結式です。行列式の展開は高校数学の知識でも行えますが、次数が高くなると計算が煩雑になるため、プログラムやコンピュータ代数システム(CAS)を用いることもあります。
例題で理解しよう
例題1:
次の2つの1次式について終結式を求めましょう:
\( f(x) = x – 2 \), \( g(x) = x – 3 \)
Sylvester行列:
| 1 -2 | | 1 -3 |
行列式:
\( \text{Res}(f, g) = (1)(-3) – (1)(-2) = -3 + 2 = -1 \)
→ 終結式は \( -1 \) で 0 ではないので、共通解はありません。
例題2:
次の2つの多項式について終結式を求めましょう:
\( f(x) = x^2 – 1 \), \( g(x) = x – 1 \)
これらの多項式は共通解 \( x = 1 \) を持っています。
Sylvester行列:
| 1 0 -1 | | 0 1 0 | | 1 -1 0 |
行列式を計算すると、\( \text{Res}(f, g) = 0 \) となります。
→ 共通解があることを確認できます。
応用:代数方程式と終結式
終結式は、次のようなさまざまな応用があります:
1. 多項式の共通因数の検出
終結式が 0 ならば、2つの多項式は共通因数を持つことがわかります。これは因数分解の場面や代数的独立性の議論で有効です。
2. 代数方程式の根の排除
ある未知数を消去して、他の変数だけの方程式を作るときに終結式が使えます(例:代数幾何や代数方程式系の解の研究)。
3. 連立代数方程式の解法
代数方程式を連立させたときに、未知数を1つずつ消去していく方法の一部として、終結式が役立ちます。
まとめ
この記事では、以下の内容を解説しました:
- 終結式の定義:Sylvester行列の行列式
- 終結式の意味:共通解の存在を判定
- 具体的な計算例:1次式や2次式の終結式
- 応用:因数の有無、代数方程式の変数消去
終結式は少し抽象的な概念ですが、根の性質や方程式の構造を深く理解する上で非常に重要な道具です。高校数学の延長として、大学数学や数学オリンピックへの橋渡しとなる分野なので、ぜひ身につけておきましょう。