逆需要関数と消費者余剰をゼロから解説!図と例でかんたん理解

逆需要関数と消費者余剰をゼロから解説!図と例でかんたん理解

目次

1. 需要関数とは?

経済学では、「価格が変われば、どれだけ商品を買うか(需要量)が変わる」と考えます。 この関係を表すのが需要関数です。

たとえば、ある商品の価格を \( p \)、需要量を \( q \) とすると、需要関数は次のように表されることがあります:

\[ q = D(p) \]

これは「価格がいくらなら、どれくらいの量が買われるか」を示します。 価格が高ければ少ししか買われず、価格が安ければたくさん買われるのが一般的です。

2. 逆需要関数とは?

逆需要関数は、需要関数を逆にしたものです。つまり、「ある量だけ商品を買いたいとき、そのときの最大の支払意思(価格)はいくらか」を表します。

数学的には、次のように書かれます:

\[ p = P(q) \]

ここで \( P(q) \) は、需要量 \( q \) に対して、消費者がその数量を買うために支払ってもよい最大価格(限界評価)を表します。

この逆需要関数は、「1単位目なら100円払ってもいいけど、2単位目なら80円、3単位目なら60円…」というように、追加の購入に対する評価(価値)が下がっていくことを示します。

3. 消費者余剰とは?

消費者余剰(Consumer Surplus)とは、消費者が「実際に支払った金額」よりも「得られた満足(効用)」が大きいとき、その差が「得した分」として表れる概念です。

たとえば、あなたが100円払っても買いたいジュースが80円で売っていたら、あなたは20円分「得した」と感じますよね?それが消費者余剰です。

複数単位の商品を買うとき、各単位ごとにこの「得」を合計することで全体の消費者余剰を計算します。

グラフで見ると、「逆需要曲線」と「実際の価格線」の間の面積が消費者余剰になります。

4. 逆需要関数と消費者余剰の関係

消費者余剰は、逆需要関数 \( p = P(q) \) を使って次のように計算できます:

\[ \text{消費者余剰} = \int_{0}^{q_0} P(q)\,dq – p_0 \cdot q_0 \]

  • \( q_0 \):実際に購入した数量
  • \( p_0 \):実際の市場価格
  • \( P(q) \):逆需要関数

この式の意味は、「消費者が各単位について支払ってもよいと考えた金額の合計」から「実際に支払った金額(=価格 × 数量)」を引いたものです。

5. グラフと例題で理解しよう

例:逆需要関数が直線のとき

逆需要関数が次のような直線だったとしましょう:

\[ P(q) = 100 – 2q \]

これは、「1単位目なら98円、2単位目なら96円…」というふうに、2円ずつ価値が下がっていくパターンです。

ここで、市場価格が \( p_0 = 40 \) 円のとき、消費者は最大で何単位買うでしょうか?

\[ 40 = 100 – 2q \Rightarrow q = 30 \]

つまり、30単位まで買うということです。

消費者余剰の計算

\[ \text{消費者余剰} = \int_{0}^{30} (100 – 2q) dq – 40 \cdot 30 \]

積分を計算すると:

\[ \int_{0}^{30} (100 – 2q)\,dq = [100q – q^2]_{0}^{30} = 100 \cdot 30 – 30^2 = 3000 – 900 = 2100 \]

\[ 40 \cdot 30 = 1200 \]

よって、

\[ \text{消費者余剰} = 2100 – 1200 = 900 \]

つまり、この例では消費者全体が900円分「得した」ということになります。

図でのイメージ

消費者余剰は「逆需要曲線と価格の間の三角形の面積」として図示されることが多いです。面積の公式 \(\frac{1}{2} \times 底辺 \times 高さ\) を使えば、同じ結果(900)を得ることもできます。

6. よくある質問とまとめ

Q1. 逆需要関数と需要関数の違いは?

需要関数:価格を入力 → 需要量が出る 逆需要関数:需要量を入力 → 支払意思価格が出る

Q2. なぜ消費者余剰は重要なの?

消費者がどれくらい「得しているか」を測ることで、社会全体の福祉や政策の影響を評価できます。

まとめ

  • 需要関数は「価格→量」、逆需要関数は「量→価格」
  • 逆需要関数は限界効用を金額で表す
  • 消費者余剰は「払ってもよい額」と「実際の支払額」の差
  • グラフでは逆需要曲線と価格の間の面積として計算

高校生でも図と数式を使えば、経済学の重要な概念をしっかり理解することができます。

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