利潤関数と逆需要関数をゼロから理解!高校生にもわかる経済学の基本
目次
利潤関数とは?
経済学で「利潤関数」とは、企業がどれくらい儲けるか(利潤)を示す関数です。
まず、「利潤(profit)」とは何かをおさらいしましょう。
利潤は以下のように表されます:
$$ \text{利潤} = \text{収入} – \text{費用} $$
ここでの「収入」は売上高、「費用」は生産にかかるコストです。利潤関数は、生産量 \( q \) を変数として、収入と費用の差を関数の形で表したものです。
収入(売上)は「価格 × 数量」で計算されます。しかし、価格が一定とは限りません。需要と供給によって価格が変わる場合、「価格」は数量に依存する関数、つまり「逆需要関数」として表されます。
よって、利潤関数は次のように書けます:
$$ \pi(q) = p(q) \cdot q – C(q) $$
- \( \pi(q) \):利潤関数(利益)
- \( p(q) \):逆需要関数(価格は生産量に依存)
- \( C(q) \):費用関数(生産量に応じた費用)
逆需要関数とは?
通常の需要関数は「価格を与えたとき、どれだけの量が売れるか」を示します。
一方、逆需要関数は「ある数量を市場に出したとき、それがいくらで売れるか」を示す関数です。
つまり、逆需要関数は次のように書けます:
$$ p(q) = \text{その数量を売るときの価格} $$
これは、需要曲線を「価格を数量の関数として表したもの」と考えればわかりやすいでしょう。
例えば、以下のような需要関数があるとします:
$$ q = 100 – 2p $$
これを変形すると逆需要関数になります:
$$ p(q) = 50 – 0.5q $$
この関数は、「たくさん売ろうとすればするほど、価格を下げないといけない」ことを示しています。
利潤最大化と企業の意思決定
企業の目的は一般に「利潤の最大化」です。
利潤関数を最大にするような生産量 \( q \) を選ぶ、というのが企業の基本的な行動です。
利潤関数が:
$$ \pi(q) = p(q) \cdot q – C(q) $$
で与えられるとき、利潤を最大にする \( q \) を求めるには、まず微分して最大値を探します。
$$ \frac{d\pi}{dq} = p(q) + p'(q) \cdot q – C'(q) $$ 最大化条件は: $$ \frac{d\pi}{dq} = 0 $$
この条件を使って、最適な生産量 \( q^* \) を計算できます。
具体例:利潤関数と逆需要関数を使って計算してみよう
以下のような設定を考えましょう:
- 逆需要関数: \( p(q) = 100 – q \)
- 費用関数: \( C(q) = 20q \)
このとき、利潤関数は:
$$ \pi(q) = (100 – q) \cdot q – 20q = 100q – q^2 – 20q = -q^2 + 80q $$
これを最大化するために微分します:
$$ \frac{d\pi}{dq} = -2q + 80 $$ 最大化条件: $$ -2q + 80 = 0 \Rightarrow q = 40 $$
よって、最適な生産量は \( q = 40 \)、このときの価格は:
$$ p(40) = 100 – 40 = 60 $$
そして利潤は:
$$ \pi(40) = -40^2 + 80 \cdot 40 = -1600 + 3200 = 1600 $$
つまり、40個生産し、1つ60円で売ると、利潤は1600円になります。
まとめ
- 利潤関数は「売上 – 費用」で、生産量を変数とした関数です。
- 逆需要関数は「価格が生産量にどう依存するか」を表します。
- 企業は利潤関数を最大にするように生産量を決定します。
- 数学的に求めるには、利潤関数を微分して最大化条件を使います。
利潤関数と逆需要関数の関係をしっかり理解することで、経済学の分析がよりスムーズになります。高校生の段階でも、基本的な数式を使って企業の行動をモデル化できることを、ぜひ実感してみてください。