数学でよく出る「有界」とは?有界集合の意味と例を徹底解説!
目次
有界の定義
数学における「有界」とは、ある集合が特定の範囲の中に収まっていることを意味します。
特に実数の集合において、集合 \( A \subset \mathbb{R} \) が有界であるとは、ある実数 \( M > 0 \) が存在して、 任意の \( x \in A \) に対して
\[ |x| \leq M \]
が成り立つことをいいます。つまり、集合のすべての要素が絶対値で \( M \) 以下であるということです。
上界・下界との関係
有界性をより詳しく見るためには、「上界」「下界」という概念が重要です。
- 上に有界(bounded above):集合 \( A \) に対して、ある実数 \( M \) が存在して、任意の \( x \in A \) に対して \( x \leq M \) が成り立つとき。
- 下に有界(bounded below):ある実数 \( m \) が存在して、任意の \( x \in A \) に対して \( x \geq m \) が成り立つとき。
- 上下ともに有界:上に有界かつ下に有界であるとき、集合は有界といいます。
たとえば、区間 \( [1, 5] \) は上に \( 5 \)、下に \( 1 \) という界があり、有界です。
有界集合の具体例
以下に、有界集合の具体例を挙げます。
-
実数の閉区間:\( A = [2, 7] \)
→ すべての要素は \( 2 \leq x \leq 7 \) に収まるので、有界。 -
有限集合:\( B = \{ -3, 0, 1, 4 \} \)
→ 最小値は -3、最大値は 4 なので、有界。 -
開区間:\( C = (0, 1) \)
→ 上に 1、下に 0 の界が存在するため有界。
有界でない集合の例
逆に、有界でない(無界)集合の例も確認しておきましょう。
-
自然数全体の集合:\( \mathbb{N} = \{1, 2, 3, \ldots\} \)
→ 上に限界がなく、任意の \( M \) より大きな数が存在するので無界。 -
実数全体:\( \mathbb{R} \)
→ 上にも下にも限界がないため無界。 -
半開区間:\( [0, \infty) \)
→ 上に界がないので無界。
距離空間における有界
有界という概念は、実数の集合だけでなく、より一般的な距離空間(metric space)でも定義されます。
距離空間 \( (X, d) \) において、集合 \( A \subset X \) が有界であるとは、ある点 \( x_0 \in X \) と正の実数 \( r > 0 \) が存在して、
\[ A \subset B(x_0, r) \]
となるときです。ここで \( B(x_0, r) \) は、点 \( x_0 \) を中心として半径 \( r \) の開球(ボール)を表します。
つまり、集合全体がある球の中に収まっていれば、有界です。
例:ユークリッド空間における有界
ユークリッド空間 \( \mathbb{R}^n \) における集合 \( D = \{ (x, y) \in \mathbb{R}^2 \mid x^2 + y^2 \leq 4 \} \) は、原点を中心とする半径2の円の内部を含む閉円盤であり、有界です。
まとめ
- 有界とは、集合がある一定の範囲内にあることを意味します。
- 実数の集合では、上界・下界の存在が有界性を判断する鍵になります。
- 有界集合の例としては区間や有限集合があります。
- 自然数全体や実数全体などは無界です。
- 距離空間においても、一定の半径の球に収まる集合は有界とされます。
数学を学ぶ上で、「有界」という性質を正確に理解しておくことは、解析学や線形代数、関数論などの分野において非常に重要です。