約数の個数を極める!高校数学の応用問題を徹底解説

約数の個数を極める!高校数学の応用問題を徹底解説

目次

約数の個数の基本

整数には、自分自身を割り切ることができる整数(正の整数)としての「約数」が存在します。
例えば、12の正の約数は1, 2, 3, 4, 6, 12の6個です。

ここで大切なのは、約数の個数は「どのような素因数を持っているか」「それらの指数がいくつか」によって決まるということです。

約数の個数の求め方

約数の個数を求めるには、次の手順を使います。

  1. 与えられた自然数を素因数分解する
  2. 各素因数の指数に1を加え、それらをすべて掛け合わせる

たとえば、

\[ 180 = 2^2 \cdot 3^2 \cdot 5^1 \]

このとき、約数の個数は \[ (2+1)(2+1)(1+1) = 3 \cdot 3 \cdot 2 = 18 \] となります。

応用例題とその解説

例題1:条件を満たす整数の個数

問題:1000以下の正の整数で、約数の個数がちょうど6個であるものをすべて求めよ。

解法:

約数の個数が6になる形にはいくつかのパターンがあります。

  • \(p^5\):指数が5 → \(5+1 = 6\)
  • \(p^1 \cdot q^1\):\( (1+1)(1+1) = 4\) → だめ
  • \(p^1 \cdot q^2\):\((1+1)(2+1)=6\)
  • \(p^2 \cdot q^1\):同上
  • \(p^1 \cdot q^1 \cdot r^1\):\((1+1)^3=8\) → だめ

つまり、以下の形が対象です:

  1. \(p^5\)
  2. \(p^2 \cdot q^1\)
  3. \(p^1 \cdot q^2\)

1. \(p^5 \leq 1000\) となる素数は \(2^5 = 32\), \(3^5 = 243\), \(5^5 = 3125\) → 1000超えなので、\(p = 2, 3\) のみ
→ 該当する数:32, 243

2. \(p^2 \cdot q^1\):試しにいくつか調べていく(\(p\)と\(q\)は異なる素数)

例:\(2^2 \cdot 3 = 12\), \(2^2 \cdot 5 = 20\), \(3^2 \cdot 2 = 18\), など

このようにしてすべての組合せを調べ、1000以下の数値だけをリストアップすれば、条件を満たす数が求められます。

例題2:最大の約数の個数を持つ数

問題:100以下の自然数で、最も多くの約数を持つ数を求めよ。

解法:

実際に1〜100までの整数の中で、約数の個数を調べます。

例えば:

  • 60 → \(2^2 \cdot 3 \cdot 5\) → 約数の個数 \((2+1)(1+1)(1+1) = 3 \cdot 2 \cdot 2 = 12\)
  • 72 → \(2^3 \cdot 3^2\) → 約数の個数 \((3+1)(2+1) = 4 \cdot 3 = 12\)
  • 84 → \(2^2 \cdot 3 \cdot 7\) → 約数の個数 \((2+1)(1+1)(1+1) = 3 \cdot 2 \cdot 2 = 12\)
  • 96 → \(2^5 \cdot 3\) → \((5+1)(1+1) = 6 \cdot 2 = 12\)

実際には、最大は「\(\boldsymbol{60, 72, 84, 90, 96}\)」など、12個の約数を持つ数が複数あります。

さらにレベルアップした挑戦問題

問題1:nが10000以下のとき、約数の個数が最大となるnを求めよ。

この問題は実は「highly composite number(高合成数)」と関連があります。多くの素因数を小さい指数で持つ数が、最も多くの約数を持ちやすいです。

10000以下では、7560 が約数の個数が最多(約64個)になります。

問題2:2つの異なる自然数a, bの積が360で、aとbの約数の個数が等しくなるような(a, b)をすべて求めよ。

360 の約数のペアで \(a \cdot b = 360\) を満たすものを全て調べ、\(\text{約数の個数}(a) = \text{約数の個数}(b)\) を満たすものを抽出します。

例:

  • \((a, b) = (20, 18)\):\(20 = 2^2 \cdot 5\), 約数の個数 = \((2+1)(1+1) = 6\)
  • \(18 = 2 \cdot 3^2\), 約数の個数 = \((1+1)(2+1) = 6\)

よって、このペアは条件を満たします。

まとめ

約数の個数は、単に数を割って調べるだけでなく、素因数分解を活用することで、理論的に効率よく求めることができます。特に、指数に1を足してかけ合わせるというルールをマスターすれば、多くの整数問題を解けるようになります。

応用問題では、与えられた条件に合う形を素因数分解の視点から分類・整理することで、漏れなく答えを導くことができます。整数の構造に着目しながら、粘り強く取り組みましょう。

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