高校数学で理解する!ペル方程式の応用と例題徹底解説
ペル方程式(Pell方程式)は整数問題のなかでも特に奥深く、高校数学でもチャレンジできる応用範囲の広いテーマです。本記事ではペル方程式の基礎から応用的な例題までを、可能な限り丁寧に解説します。
目次
ペル方程式とは?
ペル方程式とは、以下のような形をした不定方程式のことです。
\[ x^2 – Dy^2 = 1 \]ここで、\( D \) は平方数でない正の整数、\( x, y \) は整数です。
この方程式は、ディオファントス方程式(解として整数のみを求める方程式)の一種です。たとえば、\( D = 2 \) のとき、
という形になります。このような方程式を解くことで、整数の構造や数論的な性質に迫ることができます。
基本例題:最小解の求め方
例題:次のペル方程式を満たす最小の自然数解 \( (x, y) \) を求めよ。
\[ x^2 – 2y^2 = 1 \]この方程式は、平方数でない \( D = 2 \) に対するペル方程式です。
試しに小さい自然数 \( y \) を代入していくと:
- \( y = 1 \rightarrow x^2 = 3 \) → 解なし
- \( y = 2 \rightarrow x^2 = 9 \rightarrow x = 3 \)
よって、最小解は
\[ (x, y) = (3, 2) \]これは基本解(fundamental solution)と呼ばれ、他のすべての解はこの基本解から生成できます。
一般に、解は次のような形になります:
\[ x_n + y_n\sqrt{D} = (x_1 + y_1\sqrt{D})^n \]よって、他の解も簡単に求められるようになります。
解法のアイディアと有理化
ペル方程式を解く主な方法には次のようなものがあります:
- 連分数展開を用いる方法(大学レベル)
- 数値代入による探索(高校生向け)
- 数列的アプローチ(フィボナッチ数列などの一般化)
ここでは数列を使ったアプローチを紹介します。
例:\( x^2 – 3y^2 = 1 \)
まず基本解を探します。代入により \( (x, y) = (2, 1) \) が解であるとわかります。
次に数列として展開します:
\[ x_{n+1} = x_1x_n + 3y_1y_n \\ y_{n+1} = x_1y_n + y_1x_n \]これにより全ての解が再帰的に得られます。
応用問題:数列や面積への応用
ペル方程式は応用範囲が非常に広く、特に次のような応用があります。
1. 直角三角形の整数辺問題
例題:各辺の長さが整数であり、面積も整数となる直角三角形のうち、斜辺と1辺が \( x, y \) の関係を満たすものを探せ。
この問題は、ピタゴラス数とペル方程式の関係を使って次のように変換されます:
\[ x^2 – 2y^2 = 1 \]先ほどの最小解 \( (x, y) = (3, 2) \) を使って、辺長を求めます。
\[ a = y = 2,\quad b = \sqrt{x^2 – y^2} = \sqrt{9 – 4} = \sqrt{5} \]ただし、ここでは面積の条件が整数であることを使って、別の応用が可能です。詳細な数値例や導出は応用問題演習にて深掘りされます。
2. 数列の一般項としてのペル方程式
ペル方程式から生まれる数列の一例を紹介します:
基本解 \( (x_1, y_1) = (3, 2) \) のとき:
\[ x_{n+1} = 3x_n + 4y_n,\quad y_{n+1} = 2x_n + 3y_n \]このような漸化式を使うことで、数列的に全解を構成することが可能です。
まとめ
- ペル方程式は \( x^2 – Dy^2 = 1 \) という形の整数方程式。
- 最小解を見つければ、全ての解を導出できる。
- 数列や図形問題など、幅広い応用がある。
- 高校生でも数値代入や漸化式を使って挑戦可能。
大学数学や数学オリンピックでも頻出のテーマです。ペル方程式の理解は、整数論の深みを知る第一歩です。