代替財と補完財を完全マスター!高校生のための徹底解説と応用例
目次
はじめに:なぜ学ぶのか?
経済学では、消費者の選択行動を理解するために「代替財」と「補完財」という考え方が非常に重要です。 例えば、あなたがコンビニで「コーラ」か「オレンジジュース」のどちらを買おうか迷ったことがあるなら、それは代替財の選択に関わる行動です。 この単元を理解すれば、価格変化が私たちの行動にどう影響するのか、さらには社会全体の経済の動きまで見えてきます。
代替財と補完財の定義
まず、それぞれの定義を確認しましょう。
代替財(Substitute Goods)
ある財の価格が上がったときに、その代わりとして消費が増えるような財を「代替財」といいます。 たとえば、バターの価格が上がると、マーガリンを選ぶ人が増えるといった関係です。
補完財(Complementary Goods)
一緒に使うことで満足が得られる財は「補完財」と呼ばれます。 ある財の価格が上がると、それと一緒に使われる他の財の消費も減少します。 例としては、「プリンターとインク」「スマートフォンと充電器」などがあります。
身近な例で理解しよう
代替財の具体例
- 牛肉と豚肉
- 電車とバス
- ノートパソコンとタブレット
- 紙の本と電子書籍
補完財の具体例
- ゲーム機とゲームソフト
- 自転車とヘルメット
- パンとバター
- コーヒーとミルク
需要関数との関係と数式表現
経済学では、ある財の需要量を価格の関数として表すことができます。 たとえば、財Aの需要関数を以下のように表すとします:
\[ D_A = f(P_A, P_B, I) \]ここで、
- \( D_A \):財Aの需要量
- \( P_A \):財Aの価格
- \( P_B \):他の財Bの価格
- \( I \):所得
代替財であれば、\(\frac{\partial D_A}{\partial P_B} > 0\)、つまり他の財Bの価格が上昇すると、財Aの需要が増えます。 補完財であれば、\(\frac{\partial D_A}{\partial P_B} < 0\)、つまり財Bの価格が上がると、財Aの需要は減ります。
応用問題にチャレンジ!
例題1:代替財の分析
Q. コーヒーと紅茶は代替財です。コーヒーの価格が1杯100円から150円に上がったとき、紅茶の需要はどのように変化するでしょうか?
A. コーヒーの価格が上がると、消費者は比較的安価な紅茶に切り替えようとするため、紅茶の需要は増加します。これは典型的な代替財の挙動です。
例題2:補完財の影響
Q. ガソリンと自動車の関係について考えましょう。ガソリン価格が高騰したとき、新車の購入にどのような影響がありますか?
A. ガソリンと自動車は補完財です。ガソリンが高くなると、車の利用コストが増えるため、新車を購入するインセンティブが低下し、新車の需要は減少する可能性があります。
例題3:応用問題(計算あり)
財Xと財Yの需要関数が次のように与えられているとします。
このとき、財Yが財Xの代替財か補完財かを判定しなさい。
解説:\(\frac{\partial Q_X}{\partial P_Y} = 1 > 0\)なので、財Yの価格が上がると財Xの需要が増えることになります。よって、財Yは財Xの代替財です。
まとめ
- 代替財とは「代わりに使える財」で、片方の価格が上がるともう一方の需要が増える。
- 補完財とは「一緒に使う財」で、片方の価格が上がるともう一方の需要が減る。
- 数学的には、他財の価格に対する需要関数の偏微分で判定できる。
- 実生活の例や計算問題を通じて、理解を深めよう。