高校数学|ピタゴラス数の応用を徹底解説!例題でしっかり理解しよう
目次
ピタゴラス数とは?
ピタゴラス数とは、直角三角形の3辺の長さがすべて整数であるときの、その3つの整数の組を指します。言い換えると、自然数 \(a, b, c\) が \[ a^2 + b^2 = c^2 \] を満たすとき、\((a, b, c)\) はピタゴラス数(三つ組)と呼ばれます。
最も有名な例として次のようなものがあります:
- \((3, 4, 5)\):\(3^2 + 4^2 = 9 + 16 = 25 = 5^2\)
- \((5, 12, 13)\):\(5^2 + 12^2 = 25 + 144 = 169 = 13^2\)
- \((7, 24, 25)\):\(7^2 + 24^2 = 49 + 576 = 625 = 25^2\)
ピタゴラス数の基本性質
ピタゴラス数には以下のような性質があります。
- 最小のピタゴラス数は \((3, 4, 5)\)
- 3つの数の最大公約数が1のとき、そのピタゴラス数は原始ピタゴラス数と呼ばれる
- 原始ピタゴラス数から他のピタゴラス数を作るには、すべての数を同じ自然数で掛ければよい(例:\((3, 4, 5)\) → \((6, 8, 10)\))
ピタゴラス数の生成方法
2つの自然数 \(m, n\)(\(m > n\))を使って、以下の式でピタゴラス数を生成できます: \[ a = m^2 – n^2,\quad b = 2mn,\quad c = m^2 + n^2 \] この方法で生成される三つ組は、常にピタゴラス数になります。
例:
- \(m = 2, n = 1\):\((3, 4, 5)\)
- \(m = 3, n = 2\):\((5, 12, 13)\)
- \(m = 4, n = 1\):\((15, 8, 17)\)
応用例題とその解説
例題1:直角三角形の辺を求める
長さが整数である3辺からなる直角三角形があり、短い2辺の一つが6 cm、他の1辺が8 cmです。斜辺の長さを求めなさい。
解法:ピタゴラスの定理より、 \[ c = \sqrt{6^2 + 8^2} = \sqrt{36 + 64} = \sqrt{100} = 10 \] したがって、斜辺は10 cm。
例題2:整数解を持つ直角三角形を見つける
次のうちピタゴラス数となる組はどれか。 (1) \((6, 8, 10)\) (2) \((9, 12, 15)\) (3) \((7, 24, 26)\)
(1):\(6^2 + 8^2 = 36 + 64 = 100 = 10^2\) → 正解
(2):\(9^2 + 12^2 = 81 + 144 = 225 = 15^2\) → 正解
(3):\(7^2 + 24^2 = 49 + 576 = 625 ≠ 26^2 (=676)\) → 誤り
例題3:与えられた周囲の長さから辺を求める
周の長さが60 cmの直角三角形で、3辺がピタゴラス数であるとする。そのような辺の組を求めよ。
考えられるピタゴラス数の候補:
\((10, 24, 26)\):和 = 60
したがって、答えは \((10, 24, 26)\)
入試での出題傾向と対策
ピタゴラス数は、以下のような形で入試によく出題されます:
- 三平方の定理を使う問題の整数バージョン
- 選択肢からピタゴラス数を見抜く問題
- 図形の長さや面積を求める過程でピタゴラス数が登場
対策としては以下の点が重要です:
- 代表的なピタゴラス数を暗記する
- 生成方法を理解し、必要に応じて作れるようにする
- 三平方の定理と組み合わせて柔軟に使えるようにする
頻出ピタゴラス数一覧
- \((3, 4, 5)\)
- \((5, 12, 13)\)
- \((6, 8, 10)\)
- \((7, 24, 25)\)
- \((8, 15, 17)\)
- \((9, 12, 15)\)
- \((10, 24, 26)\)
これらを押さえておくことで、計算を大幅にスピードアップすることができます。