【高校数学】代数学の基本定理とは?例題で徹底マスター!
本記事では「代数学の基本定理」について、高校生にもわかりやすく徹底的に解説します。多項式の世界における最も重要な定理の一つであるこの定理は、因数分解や方程式の解の存在に密接に関わっています。例題や演習問題を交えて理解を深めていきましょう。
目次
代数学の基本定理とは
「代数学の基本定理(Fundamental Theorem of Algebra)」とは、 「次数が1以上の複素数係数多項式は、少なくとも1つの複素数解を持つ」という定理です。
例えば、次のような多項式を考えましょう:
\[ f(x) = x^2 + 1 \]
この多項式は実数解を持ちませんが、複素数 \( i \) を使えば、次のように因数分解できます:
\[ x^2 + 1 = (x + i)(x – i) \]
よって、複素数の範囲で見ると解が存在することがわかります。
この定理が意味すること
この定理は次のような意味合いを持ちます:
- 複素数の世界では、多項式方程式の「解が存在しない」ということはない。
- 次数 \( n \) の多項式には、重解(同じ解が複数回現れるもの)を含めてちょうど \( n \) 個の複素数解がある。
- 複素数は代数的に「閉じている」集合である(代数的閉体)。
基本例題とその解説
例題1:2次方程式の複素数解
次の方程式の解を求めなさい:
\[
x^2 + 4 = 0
\]
解答:
両辺を変形すると
\[
x^2 = -4
\Rightarrow x = \pm \sqrt{-4} = \pm 2i
\]
よって、解は \( x = 2i, -2i \) です。
例題2:3次方程式の因数分解
次の多項式を因数分解しなさい:
\[
f(x) = x^3 – 1
\]
解答:
\[
x^3 – 1 = (x – 1)(x^2 + x + 1)
\]
ここで、2次式 \( x^2 + x + 1 \) の解を求めると
\[
x = \frac{-1 \pm \sqrt{1 – 4}}{2} = \frac{-1 \pm \sqrt{-3}}{2} = \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2}
\]
よって、
\[
f(x) = (x – 1)\left(x – \frac{-1 + \sqrt{3}i}{2}\right)\left(x – \frac{-1 – \sqrt{3}i}{2}\right)
\]
数学的な応用と意義
この定理は高校数学においても、以下のような場面で重要な役割を果たします:
- 因数定理や余りの定理と組み合わせた因数分解
- 2次方程式の判別式の意味理解
- 実数範囲における因数分解の限界の理解
また、大学数学に進むと、解析学や複素関数論における基礎としてこの定理が登場し、より深い理解が求められます。
演習問題
問題1
次の方程式の解を求めなさい: \[ x^2 + 6x + 13 = 0 \]
問題2
次の多項式を因数分解しなさい: \[ x^4 + 1 \]
解答例
問題1:
判別式 \( D = 36 – 52 = -16 \) より、複素数解を持つ。
\[
x = \frac{-6 \pm \sqrt{-16}}{2} = \frac{-6 \pm 4i}{2} = -3 \pm 2i
\]
問題2:
\( x^4 + 1 = (x^2 + \sqrt{2}x + 1)(x^2 – \sqrt{2}x + 1) \) と因数分解可能。
さらに、それぞれの2次式を複素数解で分解してもよい。
まとめ
代数学の基本定理は「どんな複素数係数の多項式にも、少なくとも1つの解が存在する」というシンプルながら深い内容を含む定理です。高校数学においても、因数分解や方程式の解を理解する上で非常に重要な役割を果たします。
この定理を活用すれば、実数解が見つからない場合でも、複素数の世界で解を見つけることができ、数学の視野が広がります。