【高校生向け】期待効用理論の「連続性」ってなに?経済学の基本を徹底解説!

【高校生向け】期待効用理論の「連続性」ってなに?経済学の基本を徹底解説!

目次

期待効用理論とは?

期待効用理論とは、私たちが不確実な状況(つまり結果が確定していないような状況)でどのように意思決定するかを説明する理論です。特に、経済学では「宝くじ」や「保険」のように、結果がいくつかの確率で決まるような選択肢の中から、どれを選ぶかを分析します。

たとえば、次のような選択肢があるとします:

  • A: 100円を確実にもらえる
  • B: 50%の確率で200円、50%の確率で0円

このようなとき、どちらを選ぶかは人によって異なります。期待効用理論では、それぞれの人が心の中に「効用関数(Utility Function)」というものを持っていて、それに基づいて選択していると考えます。

期待効用理論の公理とは?

期待効用理論を成り立たせるためには、いくつかの「公理(Axioms)」が必要です。これらは、私たちの選択がどのような性質を持っているべきかを定めたものです。主なものは次の通りです:

  1. 完全性(Completeness):どの2つの選択肢も、比べることができる。
  2. 推移性(Transitivity):AをBより好み、BをCより好むなら、AをCより好む。
  3. 独立性(Independence):共通する成分を取り除いても、選好は変わらない。
  4. 連続性(Continuity):今回のメインテーマです!

連続性の公理とは?

では、いよいよ本題の「連続性」の公理について説明します。

連続性とは、選好が「なめらかに」つながっていることを意味します。形式的にはこう表されます:

もし \( A \succ B \succ C \)(AがBより好ましく、BがCより好ましい)ならば、ある確率 \( p \in (0,1) \) が存在して、次のような混合(ロッタリー) \( pA + (1-p)C \) がBとちょうど同じくらい好ましい(無差別)になる、ということです:

\[ pA + (1 – p)C \sim B \]

ここで、

  • \( pA + (1 – p)C \):Aが起きる確率が\( p \)、Cが起きる確率が\( 1-p \)のロッタリー(くじ引き)
  • \( \sim \):無差別、つまりどちらを選んでも構わないという意味

具体例で理解しよう!

たとえば、あなたが次のような選好を持っているとします:

  • A: 100円確実にもらえる(最も好ましい)
  • B: 60円確実にもらえる
  • C: 0円(最も好ましくない)

このとき、連続性の公理によれば、ある確率 \( p \in (0,1) \) によって次のようなロッタリーが成り立つはずです:

\[ p \cdot A + (1 – p) \cdot C \sim B \]

たとえば \( p = 0.6 \) としてみましょう。すると

\[ 0.6 \cdot 100 + 0.4 \cdot 0 = 60 \]

つまり、60%の確率で100円、40%の確率で0円をもらえるくじは、60円を確実にもらえる選択肢(B)と同じくらい好ましいと考える、というのが連続性の意味です。

このように、連続性は人の好みが極端にジャンプせず、連続的に変化するという「自然な」仮定を反映しています。

なぜ連続性が必要なの?

連続性がないと、効用関数を使って選好を数値化することが難しくなります。期待効用理論では、効用を数値で表して、その数値の「期待値」を計算することで意思決定をモデル化します。

しかし、選好が「飛び飛び」だったり「不連続」だったりすると、効用の数値をうまく割り当てることができません。連続性の公理は、選好を滑らかな関数として扱えるようにするための土台なのです。

これは、高校数学でいうところの「連続関数」と似ています。グラフに「飛び」がない、という性質があると、微分や積分といった操作が可能になります。経済学でも、滑らかな効用関数を使うことで、より洗練された理論分析ができるのです。

まとめ

  • 期待効用理論は、不確実な状況での意思決定を説明する理論です。
  • その理論を成り立たせるためには、いくつかの公理(前提条件)が必要です。
  • 連続性の公理は、「ある中間的な選択肢が存在する」という自然な前提です。
  • この前提があることで、効用を数値で表すことが可能になり、数学的な分析がしやすくなります。

このように、連続性の公理は抽象的に見えますが、私たちの直感や日常的な意思決定と非常に相性の良い前提条件なのです。

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