【高校数学】三角形の外接円半径と内接円半径の深い関係を徹底解説!
目次
外接円と内接円の定義
三角形に関連する円には主に2つあります。それが「外接円」と「内接円」です。
- 外接円:三角形の3つの頂点すべてを通る円。どの三角形にも唯一存在します。
- 内接円:三角形の各辺に接する円。こちらもどの三角形にも1つだけ存在します。
この2つの円の中心はそれぞれ「外心」「内心」と呼ばれます。
それぞれの半径の公式
三角形の外接円の半径 \( R \)、内接円の半径 \( r \) を表す公式には、三角形の面積 \( S \) と辺の長さが関係しています。
- 外接円半径:\( R = \dfrac{abc}{4S} \)
- 内接円半径:\( r = \dfrac{S}{s} \)、ただし \( s = \dfrac{a + b + c}{2} \) は半周長
ここで、\( a, b, c \) は三角形の各辺の長さ、\( S \) は三角形の面積、\( s \) は半周長(セミパーミーター)です。
外接円半径と内接円半径の関係式
特に重要な関係式の1つに、三角形の外接円半径 \( R \) と内接円半径 \( r \) を結びつける以下の公式があります。
\[ R = \dfrac{abc}{4rs} \]
この公式は、三角形の構成要素である辺の長さ、半周長、内接円半径がわかれば外接円半径が計算できることを意味します。
関係式の導出
まず、三角形の面積を次の2通りで表します。
- 内接円を使った面積:\( S = rs \)
- 外接円を使った面積:\( S = \dfrac{abc}{4R} \)
これらを等式で結ぶと、
\[ rs = \dfrac{abc}{4R} \]
この式を整理すると、冒頭に出てきた関係式が導けます。
\[ R = \dfrac{abc}{4rs} \]
これにより、内接円と外接円の間には密接な関係があることがわかります。
具体例で確認しよう
例1:正三角形のとき
正三角形ではすべての辺の長さが等しく、また、面積や内接円・外接円の半径も簡単に求められます。
辺の長さをすべて \( a \) とすると、
- 面積:\( S = \dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2 \)
- 半周長:\( s = \dfrac{3a}{2} \)
- 内接円半径:\( r = \dfrac{S}{s} = \dfrac{\dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2}{\dfrac{3a}{2}} = \dfrac{\sqrt{3}}{6}a \)
- 外接円半径:\( R = \dfrac{abc}{4S} = \dfrac{a^3}{4 \cdot \dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2} = \dfrac{a}{\sqrt{3}} \)
このとき、比をとると
\[ \dfrac{R}{r} = \dfrac{\dfrac{a}{\sqrt{3}}}{\dfrac{\sqrt{3}}{6}a} = 2 \]
つまり、正三角形では常に \( R = 2r \) という美しい関係が成立します。
例2:直角三角形のとき
直角三角形では、外接円の中心は斜辺の中点にあり、外接円の半径は斜辺の長さの半分になります。
例えば、辺の長さが \( a = 3, b = 4, c = 5 \) の直角三角形(ピタゴラスの三角形)を考えると、
- 面積:\( S = \dfrac{1}{2}ab = 6 \)
- 半周長:\( s = \dfrac{3 + 4 + 5}{2} = 6 \)
- 内接円半径:\( r = \dfrac{6}{6} = 1 \)
- 外接円半径:\( R = \dfrac{3 \cdot 4 \cdot 5}{4 \cdot 6} = \dfrac{60}{24} = 2.5 \)
このとき、比をとると \( \dfrac{R}{r} = 2.5 \) になります。
応用:半径の比が与えられたときの条件
「外接円半径と内接円半径の比が一定である三角形」は、特定の形に限られます。
- 比 \( \dfrac{R}{r} = 2 \):正三角形
- 比 \( \dfrac{R}{r} > 2 \):鋭角三角形または鈍角三角形
- 比 \( \dfrac{R}{r} = 2.5 \)(例):直角三角形の一例
このように、比から三角形の形状を推測することも可能です。
まとめ
- 外接円と内接円はすべての三角形に存在する。
- それぞれの半径には公式があり、三角形の面積や辺の長さと関係している。
- \( R = \dfrac{abc}{4rs} \) という関係式により、外接円と内接円のつながりが明らかになる。
- 正三角形では常に \( R = 2r \) が成り立つ。
- 比を用いることで三角形の性質を分類・推定することができる。
三角形に隠されたこのような関係を理解することは、図形問題への洞察を深めるために非常に役立ちます。