【徹底解説】有理数と無理数の稠密性とは?定義・直感・証明・具体例まで網羅!
目次
有理数と無理数の定義
有理数とは、2つの整数 \( a \)、\( b \) を用いて、分数 \( \frac{a}{b} \) の形で表せる数のことです(ただし \( b \neq 0 \))。 例としては、
- \( \frac{1}{2} \)
- \( -3 = \frac{-3}{1} \)
- \( 0.75 = \frac{3}{4} \)
無理数とは、有理数で表せない数、すなわち、有限小数でも循環小数でもない無限小数のことです。 有名な例としては、
- \( \sqrt{2} \)
- \( \pi \)
- \( e \)
稠密性の直感的な理解
「稠密(ちゅうみつ)」とは、「どれだけ拡大しても、間に必ず別の要素がある」性質を指します。 数直線上で考えると、たとえば任意の2つの実数 \( a < b \) の間には、必ず別の有理数や無理数が存在する、ということです。
つまり、数直線上に「スカスカな隙間」は存在せず、無限に細かく埋め尽くされている状態を意味します。
有理数の稠密性の数学的証明
任意の実数 \( a < b \) に対して、\( a \) と \( b \) の間に有理数が存在することを示します。
証明の一例として、以下のような方法があります:
実数 \( a < b \) が与えられたとします。
1. \( n \in \mathbb{N} \) を \( \frac{1}{n} < b - a \) を満たすように選びます。
2. \( an < m < bn \) を満たす整数 \( m \) が存在します(これは整数の性質により保証されます)。
3. よって、\( \frac{m}{n} \) は \( a < \frac{m}{n} < b \) を満たす有理数です。
したがって、有理数は実数直線上で稠密であることが証明されます。
無理数の稠密性の数学的証明
無理数の稠密性とは、任意の実数 \( a < b \) の間に、必ず無理数が存在することを意味します。
証明の一例を示します:
- 有理数 \( r \) を \( a < r < b \) のように1つ取ります(これは上で示したように可能)。
- 無理数 \( \sqrt{2} \) を用いて、次の数を考えます:
\( x = r + \frac{\sqrt{2}}{n} \) - 十分大きな \( n \) を選ぶことで、\( x < b \) を保証できます。
- \( x \) は無理数(なぜなら、有理数 + 無理数 = 無理数)であり、かつ \( a < x < b \) を満たします。
よって、無理数も実数直線上で稠密であることが示されます。
具体例で理解する稠密性
より具体的な例を通して、稠密性を体感しましょう。
例1:1と2の間にある有理数
- \( \frac{3}{2} = 1.5 \)
- \( \frac{5}{4} = 1.25 \)
- \( \frac{9}{8} = 1.125 \)
例2:1と2の間にある無理数
- \( \sqrt{2} \approx 1.4142 \)
- \( \frac{3\sqrt{2}}{2} \approx 2.1213 \)(ただしこの場合は調整が必要)
- \( 1 + \frac{\sqrt{2}}{10} \approx 1.1414 \)
例3:連続して無限にある様子
任意の2つの有理数(例:\( 1.1 \) と \( 1.2 \))の間にも、無限個の有理数や無理数が存在します。 例えば、以下のような有理数列を構成できます:
- \( \frac{111}{100} = 1.11 \)
- \( \frac{115}{100} = 1.15 \)
- \( \frac{119}{100} = 1.19 \)
稠密性が示す数学的な意味
有理数と無理数の稠密性は、「実数は無限に連続した数の集まり」であることを意味します。 しかし、有理数は稠密であっても「可算無限集合」にすぎません。
一方で、無理数は「非可算無限集合」であり、実数全体に占める割合は無理数の方が圧倒的に多いとされます(ルベーグ測度などを参照)。
つまり、数直線は有理数と無理数で隙間なく埋め尽くされており、どれほど小さな間隔でも、そこには無限に多くの数が存在します。
この記事では、有理数と無理数の稠密性について、定義から証明、例、そしてその深い意味まで詳しく解説しました。